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幕間、浜辺にて



※遊矢がユートとユーゴ統合済み。S次元から帰還してつかの間のバカンス、というイメージ。



俺にとっての、というかこのスタンダード次元での一番のスポーツは、言うまでもなくアクションデュエルなんだけど、別にそれだけがスポーツだなんてことはない。
とはいえ連日身体を色んな意味で酷使してしまった俺はしばらく休養という格好で、ビーチバレーで戯れる柚子や真澄やアユ達を、カキ氷をしゃくしゃく食べながらパラソルからぼーっと眺めていた。
「夏だなあ」
何とはなしにそんな言葉が漏れる。夏休みに入って早々に舞網チャンピオンシップが始まって、そこから息つく暇もなかったから、なんだかこうやって夏休みを過ごしているのがまだ夢のように感じるのだ。
「遊矢にいちゃん、これ膨らませてよ! ボクやフトシや零羅くんじゃ全然で」
「零羅! お前も一緒なんだな」
こくん、と頷く零羅はいつもの帽子ではなくゴム付きの大きめの麦わら帽子をかぶって少し微笑んだ。聞けば気を利かせた沢渡が連れてきたのだとか。その沢渡はお供の3人と海の家で休憩中のようだ。
少し力めばボールは呆気なく膨らんで、フトシに投げてやればはしゃいで駆け出していった。
すぐそばでフトシ達が遊びだしたというのに、視線はまた柚子達の方を向いていく。この二週間で過保護になったのかもしれない、とは思うがそれにしては、やけに、不可抗力めいているというか。なんだか俺の意思じゃないような感覚。
「リン……」
ついでにそんな言葉が漏れて、瞳の中の柚子の輪郭が一瞬くらりと揺れた。
彼女は、柚子によく似ていた。
ゴミだらけのシティの浜辺でぼろぼろのボールをどこか控えめに打ち返した彼女に、『俺』はチャンスだとばかり勢いよくスマッシュする。
彼女の細腕がボールをトスする前に、俺の掌の中でボールは情けない音を立てて凹んでゆく。もう、といつものように憤慨したリンがのしのしこちらにやってきて、そして、
「ちょっと遊矢! いつまでこっち見てるのよ!」
ふっと引き戻される。眉を吊り上げながらも真っ赤な顔をしたこれ、は、俺の幼馴染の。
「わ、わりいわりい。その、あー、……ごめん」
咄嗟にそう口走って、はて俺は一体何に謝ってるんだっけ、と首をかしげる。対する彼女はそれに酷く驚いたように大きく目を見開いていた。
「ゆう、」
「ていうか見てちゃ悪いのかよ、柚子! 帰る時間までまだまだあるんだし休むのだって退屈なの!」
言い募ると彼女、柚子はなんだか安心したような泣きそうなような顔をした。
——何か、俺、変なことしたかな。
一瞬こっちまで調子が狂いそうになった。が次の瞬間には懐なんてないはずの水着の中(?)からハリセンが飛んできた。
「あんたねえ!だからってじーーっと見てなくてもいいでしょ!」
もう、と頬を膨らませながら柚子は戻っていった。
太陽は、ゆったり沈んでいく。明日にはまた、俺たちは別の次元へと旅立っていく。

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