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春香と歩く夜の道。

 番組収録後の夜道が好きだ。担当アイドルが思いっきり歌って、踊って、輝いて。おこがましい言葉かも知れないが、自分の仕事が形になった気がして、そんな仕事終わりの夜道、アイドルと一緒に歩くのが、とても好きだ。
「プロデューサーさん、今日の収録、楽しかったですね」
なんて言葉を掛けられた日には、もう舞い上がってしまうのだ。
「そうだなぁ、スタッフの人も凄く盛り上げてくれたし。いい番組になりそうだ」
それきり黙ってまた歩く。数多輝く星空の下、指で弾けば震えそうなほどの空気、それでも、この沈黙は暖かい。
「あの、プロデューサーさん!」
頭のリボンを元気にはためかせ、一歩前へ出た春香が振り向いて。
「この後、時間ありますか?」
「ん……うん、大丈夫だけど」
「良かったら、打ち上げとか、しませんか? ……番組収録で打ち上げっていうのも、可笑しいかもですけど」
9割の笑顔に1割の不安をブレンドして、そんなことを言われてしまっては、断れないじゃないか。……尤も、断るつもりなんてないけど。
「……あんまり高いところには行けないぞ?」
「プロデューサーさんと一緒なら、どこだっていいんです! えへへ……」
こういう事を言うのだ、この娘は。全く可愛くて困る。
 アイドルとしてなら100点満点の笑顔を引き連れて、24時間営業のファミレスへと向かう夜道。今だけは、これが幸せなのだと思う。

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