ジャンル:おそ松さん【腐向け】 お題:素晴らしい喜び 必須要素:インドカレー 制限時間:1時間 読者:292 人 文字数:1487字 お気に入り:0人
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美味かったかもしれないインドカレーの話



「待っていろマイフォースブラザー、俺が世界一デリシャスなカレーを作ってやろう」

 今日は母さんがいないから昼飯は俺が作ろう何が良い、とクソ松に聞かれ、カレーが食べたいと答えた俺に、クソ松は胸を張ってそう言い、二階へと上がって行った。気になった俺はクソ松を追いかけて部屋に入った。クソ松は床に置いた本を見ながら何かをメモっている。覗き込むと、見覚えの無い料理本の本格派インドカレーのページが開かれていた。写真からしてもうコレジャナイ感の溢れるカレーのページ。クソ松は一生懸命メモ帳に材料を書き留めて行く。材料のページには、きっと家でも使ったことのないだろう材料の名前がズラリと並んでいる。カレーをルーから作ろうという発想に至るのは、何事も完璧を目指すクソ松らしいクソみたいな発想だ。他人を喜ばせるために、誰も望まない完璧を目指せるのは凄い。
 クソ松は材料のメモを眺めた後、突然大型のディパックを出し、数日分の着替えを詰め始めた。俺の頭を兄弟で風邪を引いたときの記憶がよぎった。至高の氷水を探すために、氷山へ登り、治ったはずの風邪をぶり返して帰ってきたのだ。
 鼻歌でも歌い出しそうなクソ松の胸ぐらを俺は掴みあげた。

「あのさ、一応聞くけど、カレーの材料、どこまで集めに行くの?」
「? インドだが」
「それさぁ、今日の夕飯に間に合うと思ってんの? 俺は今日カレーが食べたいんだよね」
「う、ううむ……しかし、おまえがせっかくカレーを所望するのなら……」
「母さんが作ってんの、バーモン◎カレーでしょ。それでいいよ。後ろに作り方書いてあるから、絶ッッッ対にそこに書いてある以外に余計なモン買ってくんなよ」

 しょんぼりと肩を落とすクソ松の胸ぐらを突き放した。階段を下りながら、俺ってゴミだな、と自己嫌悪する。カラ松が自分から昼飯を作ると申し出てくれたのに、俺は文句を垂れて飯が出来るのを待つだけ。近所のスーパーで材料を揃えればいい、というアドバイスをしなかったのも、本格的に作られた郷土料理より日本人の口に合う和風アレンジ済みの料理が好きな俺の好みを押しつけた結果だ。
 居間に戻り、壁に頭を寄せて目を閉じる。頭のなかで自己嫌悪に精神をボコボコにされていると、居間の戸が開いた。音に目を開けると、いささか元気を取り戻したカラ松が立っていた。

「では、俺はこれから買い出しに行ってくるからな」
「あーそー、いってらっしゃい」

 戸がパタンと閉まる。俺は溜め息をつく。これがおそ松兄さんや十四松なら罪悪感なしにカラ松に丸投げできただろうし、チョロ松兄さんやトド松ならカラ松に任せておけないと言ってついていけるのだろう。しかし俺は無駄な酸素を吸い込んで無駄に二酸化炭素を吐き出すための環境に有害な存在でしかない。文句を言うだけ言って、落ち込ませておきながら、自分好みのモノを食わせてもらうのを待っている。
 こうやって落ち込むと俺は長く、結局、夕方まで落ち込んでいた。カラ松のカレーは、チョロ松兄さんとトド松が手伝ったので、普通に美味かった。チョロ松兄さんには「一松がアイツのこと止めてくれたんだって? 良かったよ〜、アイツマジでインドまで行きかねないから」と言われ、俺は俺の選択が正しかったと少しは思えたけれど、その晩は、もしかするととびきり美味しいインド料理を食べられたかもしれない可能性が頭をグルグル回っていた。クソ松は隣で気持ち良さそうに眠っていた。


(松野一松は味わい得たかもしれない素晴らしい喜びを自分で潰しているのかもしれないと自己嫌悪している話)

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