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遠方より来る、あり

転寝をしていたようだった。ドアが三回、ノックされた。音を聞いて目覚めた。ベッドは体を起こすようにセッティングされており、日差しは温かだった。食事らしい食事は禁じられ、栄養は腕からの点滴のみ。一週間はかからないと思います、と彼は言ったが、開頭手術がそれほど早く傷口が塞がるものなのだろうか。信じ難い。
お久しぶりです
関西の人間が使う標準語はアクセントがおかしい。だからこそ、彼が関西、いや京都の出自だとすぐわかるのだが。低姿勢だが、すべてを譲らない姿勢でいる。藤崎雅彦。どうして義父である彼はここにいるのだろうか。
お久しぶりです
動揺を悟られないように、答えた。
顔色がいいようですね。術後の経過は順調ということで?
そうですね。悪性腫瘍は取り除かれたようです
さすが、日本を誇る脳外科医が執刀しただけのことはある
……そうですね
執刀医まで知っているとなると、おそらく征十郎から話が伝わっていたのだろう。
本日は、こんなところにまでご足労頂きましてありがとうございます。――何かこちらに御用時でも?
藤崎氏が隠居したという話は聞いていない。確か今年で八十五歳になるはずだが。
義理とは言え、息子が開頭手術をしたら、見舞いの一つもしたくなるものでしょう
そうですか
まあ、曾孫の誕生日祝いの品も届けに来たのもありますがね
(曾孫の誕生日……)
なるほど、と征臣は思った。藤崎氏は征十郎とかなり親しくやりとりをしているようだ。
真隆はほんとうに詩織に似てて、誕生日プレゼントも鼈甲の簪がほしいと
……そうですか
赤司さんは何かねだられたりしてないんですか
いえ、私は。征十郎と勘当しておりますし





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