ジャンル:ガールズ&パンツァー お題:熱いサイト 制限時間:30分 読者:376 人 文字数:1008字 お気に入り:0人

ノンナ「小窓から見た世界」

 私はその小窓から世界を見る。平凡な女子の肉体では見えない格別な世界に魅せられて、砲手を務めてきた。
 高校生最高精度のスナイパーなどと言われることもある。それは勿論嬉しい。私自身の名誉であるしプラウダ高校の名誉でもある。私が高い評価を受ければ愛しいカチューシャが喜ぶこともまた、格別だ。
 小窓から見る世界は日常とは全く違う。熱が飛び交っているとでもいおうか、戦車が乗り手の意志に答えて躍動し歯車の一つ一つに命を宿らせて居るように見える。車長として顔を出し、戦列を見る時とは見ているものが違う。これは砲手の特権であると思う。
 私は命を宿した戦車を狩る。私は狩人だ。
 このような話をしても誰も理解してくれることはなかった。「天才は違うわね」なんて反応ならいいほうで、大概は中二病の妄想で片付けられる。
「あなたすごいわ! あなたなら私の戦術について来られる」
 カチューシャはそう言った。初めての反応だった。
「私には駒が足りないの。私の理想を実現するには貴女が必要。ねえ、私の駒になってくれない?」
 なんだそれは。いきなり駒とは人を馬鹿にしている。
 だのにどうして、私はこの小さい女に心惹かれているのか。わからない。わからないけれど、惹きつけられた。
「やれるものなら、どうぞ」
 カチューシャは見る間に頭角を現し、二年になると幸運があったとはいえ常勝の黒森峰を下す大金星を上げる。その頃になると私は彼女に心酔しきっており、同性愛者ではないかと囁かれることも多かったらしい。
 私にとってはカチューシャが連れて行ってくれる世界でサイトを覗く事が全てなのだ。そこで見える世界は、熱量が違う。以前格別だと思っていた世界が陳腐に見えるほどである。
 私たちは三年生になった。そして大洗女子学園という台風の目に翻弄されることとなる。
 彼女たちは他のどんな獲物とも違った。戦車に見える生命力が強いわけではないのに、しぶとい。
 一度目は負けた。二度目は勝った。そして三度目は、共に戦った。
 カチューシャに導かれて見た世界こそ志向だと思っていたが、大洗女子学園のために覗いた窓からはまた違うものが見えた。
 敵は獲物ではなく、狩人である。だからこそ私は自然に身を投げうった。
 サイトは気が狂いそうに熱い。視神経が焼け付く感覚を覚えながら私は砲を撃つ。その振動が心地よい。
 まだまだ先が見たい。最後にそう思った。

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