ジャンル:咲-Saki- お題:朝の汁 必須要素:くさや 制限時間:15分 読者:300 人 文字数:888字 お気に入り:0人

白糸台の朝ごはん事情 ~せーあわ編~

大星淡は逡巡していた。
おそらく、今までの人生を振り返ってみても彼女がここまで悩ましい表情をしていることなど数えるほどしかなかっただろう。
額には脂汗、顔は青ざめ、髪の毛のつやとうねうねはいつもより六割減である。

「……ねえ、亦野せんぱい」

「ん? どうした?」

その向かいで呑気に箸を進めるのは彼女の先輩である亦野誠子だ。
汁物をすすり、白米を一口。彼女が釣ったと思われる焼き魚をほぐし、再び白米と合わせて口に運ぶ。
淡が何を考えているかなどお構いなしに食事をするその様子は、泰然自若。
一周回って、カリスマがかった王者の貫禄すらあった。

「というか淡、お前箸がちっとも進んでないじゃないか。
 どうした? 悩みでもあるのか?」

いや、そんな彼女でも後輩の様子はちゃんと見ているらしく。
微妙にピントこそずれてはいるが、後輩の苦悩をしかと読み取っていた。

「あー、それじゃあ言っていい?」

「そりゃあ、私に解決できることならな」

「じゃあさ……なんで汁物にくさやが入ってるの?」

……惜しむらくは、悩みがあるから箸が進んでいないのではなく。
箸が進まないこと自体が悩みなのだった。

暇だからと朝っぱらから誠子の部屋に遊びに行って。
丁度釣果があったし、材料のストックもあったから朝食を振舞うと言われ。

楽しみに待っていた結果が、このくさやである。

「だって、栄養あるだろ? くさや」

「だからってコーンスープに入れるのはおかしいってば!
 百歩譲って味噌汁に入れるのはまだ分かるよ!
 なんで洋風のスープに入れるの! 絶対合わないって火を見るよりパラリラじゃん!」

「それを言うなら火を見るより明らか、な」

「というかコーンスープでどうやってご飯が進むの!?」

「そりゃあ、くさやでコクと身が」

「ないないない! あーりーえーなーい!」

意外と美味しいのにな、くさやスープ。
そう言いながら後輩の分までスープを啜る誠子の表情は、どこか憂いを帯びていたという。

こうして、白糸台の朝ごはん事情は静かに、しかし遺恨を遺して閉幕したのだった。

同じジャンルの似た条件の即興二次小説


ユーザーアイコン
作者:雨七 ジャンル:咲-Saki- お題:朝の汁 必須要素:くさや 制限時間:15分 読者:333 人 文字数:771字 お気に入り:0人
爽やかな朝だった。窓からは柔らかな朝日が差し込み、白い布団がふわりと全身を心地よく包んでいて。けれど、そんな朝を迎えたエイスリンの第一声は、「クサイ!!」 悲 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:よくと氏 ジャンル:咲-Saki- お題:肌寒い英霊 必須要素:くさや 制限時間:30分 読者:216 人 文字数:911字 お気に入り:0人
ああ、外でセミが鳴いている…生物たちが暑さにやられ、やる気を落とす季節だ。そんな中私は、この季節とは不釣り合いなほどの服を着込み感傷に浸っていた。私は、昔から異 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:愚図 ジャンル:咲-Saki- お題:免れたフォロワー 必須要素:くさや 制限時間:30分 読者:277 人 文字数:855字 お気に入り:0人
「うふふっ」夕方の通学路、スマートフォンを見ては笑いを抑えきれないといった様子の原村和が一人で家路を辿っていた。「この方の呟きは本当に面白いですね」彼女がスマー 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:すかい「文章」ギオン ジャンル:咲-Saki- お題:裏切りの道のり 必須要素:スラム街 制限時間:15分 読者:76 人 文字数:1178字 お気に入り:0人
『ネリー、あたしね』そう切り出す彼女の顔は、いつも太陽のように輝いていた。ドブ川の底に溜まった泥のようなこの街で、あんな笑顔が出来るだなんて。素直に感心するし、 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:咲-Saki- お題:春の暴力 制限時間:15分 読者:310 人 文字数:415字 お気に入り:0人
やさしく暖かい風が頬を撫でる。ひらひらとまいおちる桜を見つめながら、私、竹井久は大きなため息をついた。そう、今日は卒業式。学生儀会長を務めた私はこの後、壇上に立 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ユーリン ジャンル:咲-Saki- お題:今年のお尻 必須要素:出会い系サイト 制限時間:15分 読者:321 人 文字数:934字 お気に入り:0人
「いつの間に……」夏服を着ていたのもいつの事やら。インハイに行っていたこともあって水着を着て海やプールを満喫することもなく、気付いたときには、長袖の冬服に袖を通 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨七 ジャンル:咲-Saki- お題:許せない地獄 必須要素:東京湾 制限時間:15分 読者:361 人 文字数:567字 お気に入り:0人
清澄高校の優勝で幕を下ろしたインターハイ。打ち上げもそこそこに、咲は夜の東京湾を眺めていた。 ざぱん。ざぱん。コンクリートの堤防に、黒い波が打ち付ける。その飛 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:りんすずり ジャンル:咲-Saki- お題:イタリア式の駄作 必須要素:セ○クス 制限時間:15分 読者:260 人 文字数:1158字 お気に入り:0人
なあ どうして部室のエアコンが水滴を吐き出すのかわからないまま三日が経過した。 なあ。 インターネットで調べて自分たちなりに創意工夫を凝らしたものの、埃混じり 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨七 ジャンル:咲-Saki- お題:イタリア式の駄作 必須要素:セ○クス 制限時間:15分 読者:339 人 文字数:566字 お気に入り:0人
「久しぶりのオフだ、って知ってたわよね」 そう口にした丹羽菜緒子は真顔だった。彼女が座るソファの隣では、高橋千代子がばつの悪そうな表情を浮かべていた。おずおずと 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:愚図 ジャンル:咲-Saki- お題:地獄床 必須要素:爆弾 制限時間:15分 読者:351 人 文字数:541字 お気に入り:0人
人それぞれに、芸術はある。ひとつひとつ挙げていっても意味が無いので、割愛をさせて頂く。この物語は爆発に魅せられた少女と、関わってしまった人々の物語。午前九時、屈 〈続きを読む〉

眠猫の即興 二次小説


ユーザーアイコン
作者:眠猫 ジャンル:咲-Saki- お題:去年の世界 必須要素:右膝 制限時間:30分 読者:186 人 文字数:959字 お気に入り:0人
正月は二日目の雪を率いてなんとやら。そんなことを言う人もおったらしいけど、生憎ここは南大阪。雪の「ゆ」の字のかけらもない。まあ雪はなくても正月は正月、ということ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:眠猫 ジャンル:咲-Saki- お題:地獄許し 必須要素:ノイズ 制限時間:30分 読者:206 人 文字数:759字 お気に入り:0人
地獄からの出所のお達しが、とうとう私の元にもやって来た。苦節三年。入った時はあれだけ長く感じていたオツトメの期間も、今になって振り返れば、短いもんだと痛感する。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:眠猫 ジャンル:咲-Saki- お題:朝の汁 必須要素:くさや 制限時間:15分 読者:300 人 文字数:888字 お気に入り:0人
大星淡は逡巡していた。おそらく、今までの人生を振り返ってみても彼女がここまで悩ましい表情をしていることなど数えるほどしかなかっただろう。額には脂汗、顔は青ざめ、 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:眠猫 ジャンル:咲-Saki- お題:小説の中の祖母 必須要素:コメディ 制限時間:30分 読者:754 人 文字数:1728字 お気に入り:0人
昔々、まだ麻雀人口が数千万にも満たなかった時のお話。 あるところに、作家を目指していた少女がおりました。作家をめざして「いた」というのは、もう今は目指していな 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:眠猫 ジャンル:咲-Saki- お題:これはペンですか?違うわ、それは流刑地 必須要素:グミ 制限時間:1時間 読者:608 人 文字数:1810字 お気に入り:0人
追加必須要素:クリスマス 故郷に帰ってきた。三年ぶりにもなろうか、久しぶりの故郷は一面の雪景色だった。随分と雪の上を歩いていなかったので、気をつけていないとつい 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:眠猫 ジャンル:咲-Saki- お題:鋭い葬式 必須要素:映画 制限時間:15分 読者:668 人 文字数:923字 お気に入り:0人
「こうやって、お前の顔を見るのも最後になるな」 そう言って獅子原爽は彼女の友人であり同級生――桧森誓子の方を見た。「まったく何でこうなっちまったんだか……いや、 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:眠猫 ジャンル:咲-Saki- お題:苦しみの湖 必須要素:骸骨 制限時間:30分 読者:633 人 文字数:1611字 お気に入り:1人
「桜の木の下には屍体が埋まっている!」「……ええと、梶井基次郎ですか?」「ご名答。ってよく知っていたわね。あんまり元ネタ知ってる子はいないんだけど」「あ、あの、 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:眠猫 ジャンル:咲-Saki- お題:俺はガールズ 必須要素:TOEIC 制限時間:15分 読者:651 人 文字数:949字 お気に入り:0人
「TOEICなんて何で受けさせられるんだろうな?」「そりゃあ、純君が英語で赤点だったからだよ」「だってよー、あの試験内容で赤点とるなって方が難しいっての」「そう 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:眠猫 ジャンル:咲-Saki- お題:茶色い就職 必須要素:宗教 制限時間:15分 読者:579 人 文字数:738字 お気に入り:0人
「おい、照、これお前宛だろ? 部室に届いてたぞ」 祝日を挟んで三日ぶりに合った友人から渡されたのは、小奇麗な茶封筒だった。表の下の方に「〇〇協会」という厳つい文 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:眠猫 ジャンル:咲-Saki- お題:空前絶後の秀才 必須要素:一発ギャグ 制限時間:30分 読者:866 人 文字数:1392字 お気に入り:0人
「もこちゃんはもっと笑顔の練習をすればええと思うんですよーぅ」 阿知賀女子の面々との練習が終わって、のんびりとした空気が流れる中。チームコスプレ――もとい、荒川 〈続きを読む〉