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この闇が全て夢であったなら【一トド】

初めは純粋に、あいつのことが好きだった。
あいつが好きだと感じるたびに、それだけで幸せだった。

だけど、日に日に想いが募って、独りで抱え込むのが苦しくなった。

眩しいあの笑顔も。
優しいあの声も。
綺麗なあの瞳も。
美しいあの身体も。
光に満ちた、あの………心も。
全部全部、自分のものにしてしまいたかった。

だから俺は、あいつを………

「……」

壊した。

肌蹴た桃色のパーカーから覗く白い肌。
床を汚す、濁った色の液体。
苦しげに歪んだ、綺麗な顔。

「…トド松」

名前を呼び、頬を撫でた。
返事は無い。
…投げ出された身体を抱き寄せ、赤と白を舌で舐め取る。

「………」

耳の奥にまだ、トド松の喘鳴が残っている。
身体を暴かれながらも必死に抵抗する姿が脳裏に浮かんだ。

紫色のパーカーの袖に腕を通しながら、呟く。

「…全部夢だったらよかったのにね」

これが、全部夢だったなら。
可哀想な弟が兄に汚されることは無く、あいつはずっと綺麗な笑顔のままでいられたのに。
俺の心が汚い欲に侵されて、どす黒い闇に心を埋め尽くされることもなかったのに。

「……愛してる」

こんな汚れた愛も、全部夢だったらよかったのに。

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