ジャンル:Fate/Grand Order お題:これはペンですか?違うわ、それは神話 制限時間:15分 読者:106 人 文字数:785字 お気に入り:0人

魔法のペン


 部屋を訪ねると、マシュは机に頬杖をついて何かを眺めていた。時折嬉しそうな笑いがこぼれている。
 いったい何を見ているのだろうか。とても気になる。
 マシュに気づかれないように足音に注意してそろそろと近づいていく。
 アサシン目指せるんじゃないの? と思うくらい、マシュは全く私の気配に気づいていない。そっと後ろからのぞき込んで、予想とは違うものに思わず声が漏れる。

「羽根ペン?」
「っ! 先輩!?」

 びくっと身を震わせ、マシュは目をまんまるにして私を見上げた。それから、ちょっぴり恥ずかしそうに頬を掻きながら、羽根ペンを手に取り渡してくれる。
 羽の先が黒く下に行くにつれて蒼へと変わっていくグラデーションがきれいな羽根は、どこかで見たような……

「あ、もしかしてアンデルセンの?」
「さすが先輩です。そうなんです、アンデルセンさんから頂きました」
「へぇ。あ、これがないとアンデルセン物語書けないんじゃ?」
「いえ、最近は端末機器の方が早いし、手間がないとそちらを使っていらっしゃるらしく、いらないから持って行けと」
「へぇ、それでマシュもらったんだ……何で?」
「笑わないでくださいよ?」
「もちろん」

 マシュはもじもじとしながら、アンデルセンから羽根ペンを譲り受けた経緯を話し出す。

「私、アンデルセンさんの書かれる童話が好きで。それで、その、サインが欲しいと本を持っていったところ、すごい嫌な顔をされまして」
「あー……なんかわかるかも」
「それでもなんとか、とお願いしてみたのですが、サインよりこっちの方がましと押し付けられてしまったのです」
「はぁ、なるほどね。結果的にはよかったね」
「はい! とっても、幸せです」

 マシュは大事そうに羽根ペンを抱きしめた。
 素敵な童話を紡ぐ羽根ペンはマシュにとって夢を紡ぐ大事なものだったようだ。

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