ジャンル:銀魂 お題:賢い平和 制限時間:1時間 読者:308 人 文字数:2013字 お気に入り:0人

兄貴と神楽リベンジ

 「頼むから、ほんっとーに頼むから、暴れるのだけは止めてくれよ」
 「お侍さん達だって、常日頃から暴れてるみたいじゃない」
 「いや、そう言われると弱いんだけどさ、俺らは一応許されるギリギリのところでやってるから。たぶん。でもテメエはその辺の越えちゃいけない線をかるーく百メーターはオーバーしていきそうだからさ。ほんっっっとうに頼むよ」


 気紛れで地球に寄って、印象的なお侍さんと妹がいる万事屋にやってきた神威が、好奇心から万事屋の依頼を引き受け、依頼人の旦那の身辺調査に乗り出してからおよそ3時間ほどか。
 血走った目の銀時に頼み込まれ、その時は素直に頷いた神威だったが、早くも約束を反故にしたくなってきていた。
 「ねえ、もうこれ確定でいいんじゃない」
 「待つアル。こういう仕事は証拠集めが大事アル。私前の依頼で我慢できずに飛び出して行って、後で相当面倒臭い思いしたネ」
 依頼人は30後半くらいのおばちゃんで、疑惑のターゲットである依頼人の旦那も見たところ同い年くらいだ。そして今、その旦那にしなだれかかっている女は若い。おそらく20代の前半だ。若さを武器におっさんの顔を脂下がらせている姿を、神楽が淡々とカメラに収めていった。
 きゃあ、あのサメおっきくてこわ~い! という口から反吐を吐きたくなる甲高い声と共に、女がターゲットに身体を押し付ける。場所は水族館。大きな水槽の中で、巨体を翻しながら悠々と泳ぐ名物のジンベイザメには、そんな小娘とおっさんの姿など目に入っていないだろうが。
 「俺は結婚とか興味ないから、あの二人にどういう感情を持てばいいのかよく分からないんだけどさ」
 「マミーが生きてた頃に、パピーがマミーを置いて若い女といちゃいちゃしてる姿を想像してみるネ」
 「よし八つ裂きにしよう」
 即決即断で一歩踏み出すが、すかさず後ろから羽交い絞めにされた。
 「待つアル」
 「なんで」
 「それは私らの仕事じゃないからアル」
 振り切ることもできなくはないが、そうすれば、神楽と本気の喧嘩になる。この水族館は魚ごと消し飛ぶし、あの気に食わないおっさんと女も消し飛ぶだろうが、今日は銀時の代理で来ていることを思い出して踏み止まった。
 結局水族館デートを丸々尾行し、その後のレストランのディナーまで付いていくことになる。
 「ねえ、このままホテルまで行きそうだよ」
 「あー。それは、ちょっとアレアルな」
 神楽が小さな無線機のようなものをポケットから取り出す。携帯を買う金はないからと、知り合いの爺さんに作ってもらったものだとか何とか。
 機械からはあのお侍さんの声がして、神楽が現状を伝えると、何とかする、との言葉を最後に切れた。ほどなくして、尾行していたターゲットのポケットからメロディが鳴りだして、携帯に出た男は、二、三話した後、女に何かを言い、何度も頭を下げながら帰り支度を始めた。
 「銀ちゃんが奥さんに上手く連絡させてくれたみたいアル」
 かくして今日の仕事は終了した。
 神楽が持ち歩いていたカメラには、今日の一部始終が赤裸々に収められている。二人は万事屋に帰って、銀時や新八も立ち合いのもと、再び依頼人を呼び出して、全てを伝えた。
 依頼人の女は手で顔を覆って、深く深く息を吐いた。しおしおと枯れるように背中が丸められ、周囲の者はかける言葉も見付からず、万事屋の客間に沈黙が落ちる。
 「もうひとつ、依頼をする気はない?」
 神威が告げた。
 「俺に頼んでくれれば、あの旦那も、女も、すぐに消してこれるよ」
 ちょっと、と難色の声を上げたのは後ろのお侍さんと眼鏡の少年だ。神威は構わず続ける。
 「今日は特別に格安で引き受けてあげる。方法はあんたのお気に召すまま、さんざん苦しめてもいいし、大体どんなオーダーでも受けられると、」
 「いいえ」
 依頼人は神威の無茶苦茶な提案に鼻白んだりはせず、ただ首を横に振った。
 「いいえ、大丈夫です。あとは私がやります」
 顔を上げた時、女の目には力強さが戻っていた。証拠は十分にあるので、裁判を起こして慰謝料を散々ふんだくってやると息巻き、もし優秀な弁護士にツテがあったら教えてくださいと連絡先を残して帰っていった。

 「あの奥さん、強い人だったアルな」
 「あれで、いいのかな。男はともかく、愛人には何の咎めもいかないじゃないか」
 「その女も、そいつに相応しい人生を送るだけネ。暴れたり殺したりだけで物事が解決する訳じゃないアル。むしろ、殴り合いだけで解決することの方が少ないネ。私はここに来てそれを知ったアルよ」
 神楽は神威の隣に、どさりと腰かけた。
 「銀ちゃんが教えてくれたアル」

 「海坊主は」
 「ん?」
 「母さんに寂しい思いばかりさせたヤツだったけど、そういう裏切り方だけは、しなかったな」
 「……ん」 
 
 

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