ジャンル:刀剣乱舞 石かり お題:安全な天使 制限時間:15分 読者:120 人 文字数:1243字 お気に入り:0人
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光の声 ※未完

 目の前に突如として現れたその人は、何にも興味がない僕の目をくぎ付けにするのには十分すぎる程のインパクトがあった。普通、何もないところから人が現れるなんて話、聞いたことがない。それを話した所で、頭がおかしいのだと笑われるのがオチだ。だから、その時の僕も、まず自分の頭を疑った。何かと見間違えたのか、いやしかし、そもそも最初からそこに居たのではないか。そうして、僕は目の前で起きた超現象を否定する。
 しかし、必死になって目の前の事象に理由を付けようとしても、どうあがいても受け入れがたい事実がある。その人物は、明らかに、この現代社会に存在するには不釣り合いの白い羽を背に携えていたからだ。
 誰がどう見ても、それは、天使、と呼ばれる出で立ちだった。背中から生えたその羽根は、ひと一人の重さに耐えられるようになっているのだろう、地に届きそうなほどに大きく、また厚みもある。俗にいう天使の輪っかというやつは僕には見えなかったが、まるで古代ギリシャの時代に出てきそうな、白い布を身体に巻き付けたような恰好は、僕らがよく想像の世界で見かける天使の姿そのものだ。
 だが、この目の前に現れた人物が天使だとして、それが何故僕に見えているのか、という疑問に関しては、いつまでも答えが導き出せないままだった。混乱する頭に、しばらく動けず固まっていると、その天使は僕の姿を見据えて、笑顔を向けた。
「やあ、驚かせてしまったようだね。すまない。君は……青江だね」
 間違いなく、天使は僕に向かった語り掛けている。名乗っても居ないのに僕の名前を言い当てたのがその証拠だ。
「ああ、怪しい者ではないよ。私は天界から君を守護しに来た天使だ。……と名乗った所で、君にはにわかには信じられないかもしれないね」
 天使だと名乗られて、はいそうですかと納得できる人物がいるのなら教えて欲しい。僕は普段から怪談話をよく好むが、かといって幽霊や異世界といったものが現実的に存在するなんて思っちゃいない。僕の目の前で超常現象など起こった事がないのだから、すぐに信じろというのが無理な話だ。
 だが、この目の前の男はさも当たり前のように、天界や天使が存在し、そして自らがそれを体現していると言っている。確かに、良く出来た羽根を持っているとは思うが、揶揄うのもほどほどにしてほしい。最近は詐欺の手法も凝ったものが増え、中には突拍子もない物もあると聞く。僕はいつぞやに届いた、高額金当選の迷惑メールを思い出し、きっとその類のものなのだろうと決めつける事にした。
「悪いけど、天使だとか守護だとか、僕は興味ないんだ。急いでいるから、それじゃあ」
 と、僕は来た道を戻る為に踵を返す。背後から、青江を引きとめるような憐れな声が聞こえたが、逃げるように早足で歩けば、追いかけてくるような足音も聞こえず、撒いた、と思った。
「青江、私の話を聞きなさい」
 突如、僕の行く手の先に、先の天使が現れていた。いつの間に回りこまれたのかわからない。

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