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【カルジュナ】転生なんて聞いてない2

もう一度、新生児室で目が覚めたカルナは、前回の何がダメだったのだろう、と考えた。なにせ、考える時間だけはたらふくあるのだ。ただ白痴のふりをして、適度に泣いてやればいい。

まず前回の人生において、反省すべき点はいくつかある。まず初めに、カルナが自分から探すことに躍起になってしまったとうことである。自分自身が探すことに加えて、相手に見つけてもらうという選択肢もあるということを失念していた。次に、あまりに危険すぎる職業についてしまったということが、そもそも間違いだった。軍に所属してしまった場合、確かに情報量という点ではおいおい過多にはなっていくだろう。しかし出世しなければデスクワークには回されないし、他の職業と比較してもやはり死亡率はけた違いだ。
さてこの二点を鑑みるて、カルナは前回の人生とは逆を行ってみることにした。
つまり、アルジュナから見つけられることのできる、安全な職業。
それには何が該当するのだろうか、と考えていたところで、カルナはようやく十三歳になろうとしていた。両親が誕生日パーティの席で何か欲しいものはないか、と聞いてきたものの、「捜してほしい男がいるのだが」などとは言えない。カルナも、言ってはいけないことくらいの分別はつくようになっていた。
そもそも自分に前世の記憶があると言ってしまえば、カルナを愛する両親が脳の病気を疑って病院に連れて行ってしまうことは容易に想像できた。カルナとしても、縁あって自分の両親という役柄についている二人を悲しませることはしたくなかった。
アルジュナのことは伏せておきながら、カルナは両親に問う。
曰く、「目立つ職業につきたいのだが、何かいい案はないだろうか」
カルナの言葉に顔を見合わせながらも、両親はまだ幼い息子に愛嬌を感じたのか、あれこれ相談をした後に返答した。
曰く、「俳優なんてどうかしら。もしかしたら世界に飛び立つことだって!」

次の日から、カルナは履歴書とオーディション申込書を揃えて、あらゆる養成所から芸能事務所までにそれを送付した。
演技経験はゼロであったが、容貌と同じく真っ白な履歴を、変幻自在な多色へ染め上げていく過程は大人をもうならせ、みるみるうちにカルナは天才子役として名を馳せるようになった。
なにせカルナに来た役柄といえば、その浮世離れした外見を利用したものや、身体能力を生かしたスタント無しなど、一筋縄ではいかないものばかりだったからだ。
これでどうにかアルジュナの方から見つけられるだろう。そうカルナが一息ついて考えられるようになる頃。カルナの年齢は二十半ばを過ぎていた。
周囲のカメラとマイクから、プライベートでの情報をねだられても、カルナにはどうでも良かった。ただ、自分を殺しに来ない男のことだけが気がかりだった。
自分に来る誘いを断る日がこようとは夢にも思わなかったカルナが、連日の下心が透けて見える誘いを全て袖にし、帰路についている日のことだった。

日付がそろそろ変わるだろう、という深夜。
カルナが一人暮らしをするマンションの下に、見覚えの無い女性の姿があった。まさか自分に用があるとは露とも思わずカルナが横を通り過ぎようとすると同時、ドン、という衝撃があった。

「あ、あ、あ、あなたがっ……誰かのものになるくらいなら……っ!」

震える手で銀色に光る何かを握り、青ざめた顔で唇を動かす女性の顔に、やはり見覚えはない。
なるほどこれも死の要因になるのか。カルナはそう思いながら、自分の腹から滴る血を見ていた。

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