ジャンル:おそ松さん お題:何かの蕎麦 制限時間:15分 読者:149 人 文字数:1959字 お気に入り:0人

りょうり

くぅ…と小さく鳴ったお腹に時間を確認してみればお昼をすぎた頃だった。
もうこんな時間かと机の上に広がる消しゴムのカスを床に落とさないようにまとめゴミ箱に捨てる。軽く手をはらい、今日のお昼は何だろうと思いながら居間へと向かった。
ガラリと扉を開け母に声をかけようとした所で母が出かけていたことに気づいた。そういえば書き物をしている時、母が何かを言いに来ていたような気もする。今居ないとあれば、夕方までには帰ってくるだろうと納得し、空腹を満たすために台所へと向かった。普段からよく手入れをされているそこは隅々まで掃除が行き届いており、汚してしまうのは何だか億劫でいつもは使おうなどとは思わなかったが場合が場合だ。冷蔵庫を開けてみれば、簡単な料理は作れそうな材料は揃っていた。他には…と冷凍室を開けて見ると、なんと肉が入っていた。しかも、バラで売られているようなものではなくからだからブロック状にを切り出した結構お高めの肉。ほんの少しだけなら気づかれないかもって何個かあるうちの1個を取り出した。
かちんこちんに固まった肉に巻かれていたラップを外せば霜のついた断面が顕になった。窓から入ってくる光を反射しきらきらと煌めいていて何だか食べてしまうのが勿体ないようなそんな気持ちになった。
それでも食欲に勝る訳でもなく日当たりがいいところに置き解凍しているうちに、ほかの下準備を始めた。





そろそろ解凍できただろうと置いておいた肉を手に取る。まだまだ肌寒いとはいえ冬の過ぎた春の日差しの元に置かれていた肉は十分な程に柔らかくなっており、包丁もするりと通すことが出来た。母に気づかれてしまわないように気を付け4分の1ほど切り終わった時、ガラリと玄関の開く音がした。たでーまぁーとやる気のなさそうに聞こえた声はおそ松兄さんのものだった。これはしくったと焦ったが、おそ松兄さんであれば言いくるめるか何かをしてどうにかできそうだと頭の中で策略を練る。

帰ってきたら手を洗うこと、幼い頃から母に言い聞かされてきたそれはある程度の年齢になった今でも変わりはしなくて、今でも律儀に手を洗いに行く僕達はできた息子だと思う。(勉強なんかは抜きして)
洗面所に向かう途中ちらりと、こちらを覗きに来たおそ松兄さんは少しばかりの驚きと戸惑いを持った顔をしていたように思えた。そりゃあ料理なんかに縁もないような僕達六つ子であるから、母さんの手伝い以外でこうして立っているのは珍しかったのかもしれない。何にせよ、なにか言いたげに眉を寄せ手を洗いに行ったおそ松兄さんの背中に向かっておかえりと声を掛けておいた。



肉にラップを掛け直し冷凍庫に入れると、手早くフライパンに切り分けた肉を投入した。途端に広がる肉が焼けるいい匂いにまたお腹が鳴った。予め入れておいた野菜と優しく和えるようにしゃっしゃっと菜箸を動かす。いい感じの色になってきたら塩コショウを全体にまぶし少量の水を入れ弱火にしつつお皿を準備し盛り付けたら完成。ふわりと薫ってくる食欲を煽る匂いにゴクリと喉がなった。
家庭科の時間に何度か料理をしたことはあったが、ちゃんと出来るかという不安もあった。しかし、思いのほかうまく出来た料理に気を良くし何ならおそ松兄さんにも分けてやろうという余裕もできた。口止めとしても最適だろうと、廊下に顔を出しおそ松兄さんを呼ぶ。

ぎいっと軋んだ床板にびくりと肩を震わせてしまった。後ろを振り向けば、部屋着に着替えたおそ松兄さんがくらい面持ちで立っていた。
音の正体がわかり、ほっとした僕はおそ松兄さんに料理を見せながら笑った。

「見てみて、結構うまく出来たんだよ!兄さんも一緒に食べない?」

料理を見ておそ松は喉に手を当てながら震える声で言った。

「トド松…それ














なんの肉か知って、る?」

「…は?え、なんの肉って…あれ?」

僕は、机に皿を置き急いで冷凍庫を開ける。中に入っていたそれを取り出してあちこちを探してみても、表記されていることは無かった。ただ、肉にラップを巻いて入れてあるだけ。気づいてしまえばそれが酷く気味の悪いものに思えて、もしかしたらなんて言葉が頭をぐるぐると周り吐き気がした。

「お、おそ松兄さんはなんの肉、か知ってるの…?」

震える腕をもう片方の手で握り少しでも冷静になろうと深く息を吸った。僕の問いには答えず、おそ松兄さんは引き戸を開け包丁を取り出す。いったい何をするつもりなのかと近づこうとすれば小さく聞こえた声があった。

「答え合わせしようぜ。」

泣きそうな声で、そういったおそ松兄さんは指を切り落とした。








答えとしては単純でなにかの肉だった。それだけ。

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