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【カルジュナ】洋裁専攻学科xモデル志望7

さて、どうにもこうにもカルナはウェディングドレス一式をデザインしなければならなくなった。
深呼吸を一つ。咄嗟に持ち出してきたトルソーを小脇に抱えて、カルナは歩き出した。つては無いが、情報ならばある。カルナの元には助言や助力を求めてあらゆる学生たちが出入りしていた。そのため、否でもカルナの耳に、様々な憶測も確信も飛び込んでくるのだ。
皆、カルナが形あるものを何も求めず、無償で人助けをすることに些かの居心地の悪さを感じていたのだろう。その対価として、世間話に見せかけた情報たちを耳に入れてきた。カルナはその時にはあまり気にしていなかったのだが、今になって情報のありがたみが分かった。
そうでなければ、すぐに行先を決めることはできなかっただろう。

カルナは図書室(というには、かなり大きい)までやってきてから、少し迷ってトルソーを抱えたまま入室した。
中はやや照明が全体的に落とされており、カーテンも閉め切られている。自習用デスクには手元用のライトが据え置かれており、本を読みたいときには不自由はなさそうだった。

カルナは図書室の中をずんずんと進み、目的の場へとたどり着く。そこは、コミュニケーション目的で作られた、円卓のようなテーブルだった。そこで小柄な人物が、あらゆる紙という紙に埋もれて唸っている。

「おい」
「……」
「そこのお前」
「……それはもしかして俺を呼んでいるのか?」

紙の束が、どさりと音を立てて机の上に載せられる。カルナの視界に見えたのは空色の髪の毛をした、少年と見紛う学生だった。

「そうだ」
「ははは。主席様とあろう者が俺などに声をかけるなどとは思ってもみていなくてな。いやぁそれにしても主席様は凡人の名など知らんだろう、おいだのあれだの、俺の個人名詞は消え去ったようだ」
「それは失礼した、アンデルセン」

ほう、と、名前を呼ばれたアンデルセンは驚いたような声を出した。それが大袈裟にされたリアクションであることはカルナでも分かる。

「単刀直入に聞こうではないか。さて、お前はどうしてこんなところへ?」
「頼みがある。コンペ協力の依頼をしたい」
「ははぁ、余程手が足りなくて困っているのか?それともこの俺をさらし首にでも仕立て上げたいつもりか?」
「お前の首には悪いが興味はない。俺はヴェールを作れる人間を探している」
「ん?ヴェール?なんの話だ?コンペは『一着』だろう。スリーピースでも作っておけばそれ以上のものもあるまい」
「いや、俺はウェディングドレスを作る」
「はぁ!?!?」

先程の友人たちと同じ反応を返すアンデルセンに、おぉ、とカルナは思わず感嘆詞を漏らした。

「お、おま、今からか!?正気か!?」
「正気だ」
「トルソーが人間に見えているなら引き返せ!今のうちだぞ!」
「む。失礼な」
「誰でも最初はそう言うのだ。アリスが不思議の国を否定しながら成長するように。お前はまさかアリスのドレスが水色だと信じているんじゃないだろうな!」
「しかしオレはコンペで一位になりたい。そのためには確実な技術を持つ協力者が必要だ」
「協力者ァ?」

アンデルセンのこめかみに青筋が浮く。どうやらアンデルセンの地雷を踏み抜いてしまったようだったが、カルナはどれがいけなかったのかが分からない。

「えぇい!この忙しい時期に、お前のコンペなど手伝ってられるか!どうしてもというのならな、地獄の沙汰も金次第と言うだろう!オートクチュール一式作る金蔓捕まえてきてから出直せ!!」
「かねづる」
「ドレス一式、それもヴェールとなるとどれだけ値が張ると思っている!お前のアリスだか女神だか知らないが、下手なものをまとわせるくらいならすっぱりあきらめろ!」

なるほど、とカルナの脳裏に閃いたのは、まさしく最高級のヴェールをまとったアルジュナであったのは、もう、言う必要もないだろう。

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