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足 ⚠不謹慎⚠薄暗いはず


白髪に染まっていく頭に不思議と底知れぬ恐怖を感じていた。弟達は何一つ変わってないのに、俺だけ白くなっていくのはまるで違う人間だと言われているようで怖くて怖くて俺は髪の毛を、あの忌々しい白色が見えないようにバリカンで全部剃り落とした。髪の毛が白くなり始めてから同時に肌も白くなっていったもんだから俺は相当参っちまったようでじょうちょ?ふあんていていう感じだったってチョロ松は言っていた。髪の毛を剃り落としてからは帽子をかぶって十四松の背中を借りてできるだけ外に出るにした。素振りなんかで鍛えられた十四松の背中は広くて貧弱になった俺の背中とは違くて、頼りがいのある背中だった。外に出れそうにない日は窓の近くで一松と日向ぼっこをした。日差しで温まった床は眠気を誘い、大抵何時間か昼寝をすることになる。
そんな時間はほんとに幸せで時間が止まってしまえば変わらなくてもいいのになんて思う。
俺は同じが見たくて、怪我をしてくる弟がいると俺は積極的に手当を申し出た。頼むたびに少し複雑そうな顔をする弟達は何を考えているのか、もししかしたら俺のちんけな思いなんてまるっとお見通しなんじゃないかなって、でも少なくとも弟達がこの家にいる限り俺はおなじを見つけていきたいと思っている。

夜寝る時に、目を閉じた時に必ず頭をよぎることがある。昔はよかったななんて、夢なんか見れないから眠たくなるまであの頃のことを考えてる。違うことを探すことの方が難しかったのに今じゃおなじを探すだけでも難しい。見た目も声も考えでさえも少しずつ違くなって俺はもう前に立つことさえできない。戻ることは出来なくてもこうして思い出すことが出来るだけでもいい事なのかなっていう結論に最近は落ち着いた。
母さんからのお小遣いがかなり溜まってきた12月、トド松が服を買いに行こうと誘ってきた。多少のめんどくささは感じつつもこうして一緒に行けることに嬉しさを感じた。普段、十四松に背負ってもらって出かける俺は今回も頼みにいこうとしたがトド松に止められた。今日は自分が背負っていくのだと笑っていた。スポーツジムで頑張ってきたというトド松は俺を背負い確かな足取りで歩いていた。
事前に話をつけていたようで俺もスムーズに店内へと入れて気遣いにこそばゆくなった。
弟達は、優しくなった。俺が弟達とは違うから優しくなったんじゃないかって、漠然とした不安に襲われる。同じであろうとあがいていた時よりも確実に今の方が優しい。いまの俺は、弟達の手なしではまともに生活することが出来ない、だからわがままも辞めたし嫌われないように務めた。変わりたくないって思っていた自分が自分で変わったなんて、皮肉みたいだよなって。元々いい長男であれたわけじゃないけど、もう長男どころか兄にもそうおしい俺じゃなくなってしまったようで、あいつらと俺を繋ぐものが消えていくのが嫌で仕方なくて、同じに執着してる。そんな自分がなんとも浅ましく気持ちの悪いことか、俺は俺が嫌いになってこんな俺なんていらないんじゃないかって、息をするたびにきつくきつく首を絞めてここから消えてしまいたくなる。
そのたびに死んでしまったら2度と弟達とは会えないのだと思うと手が震えて涙がこぼれて小さく丸まっているのだ。



1度だけ聞いたことがある。

嫌にならないのかと、見捨ててしまいたくならないのかと。その時は精神的にもひどく落ち込んでいて毎日のように見舞いに来る弟達の行動が俺を哀れんでのこととしか捉えられなくて悲しかった。足並みの揃えられなくなった自分は必要ないのではと、布団を手繰り寄せ静かに答えを待った。けれど、診察の時間だということであいつらは病室を追い立てられてしまい結局聞けずじまいだった。
もし、邪魔が入らなければなんと言っていたのだろう。死んじまうまでに聞けるといいなって。

剃り落とした髪の毛もある程度はえてきた夏、弟達と海に出かけた。いつの間にか免許をとっていたカラ松の運転に揺られながら少し遠い浜辺へとついた。人はまばらでいくつかの人影が遠目に見える程度の人気のないこの浜辺はきっと俺に配慮してのことなのだろう。人前に出れば奇異の目に晒されることは間違いなくて、多ければ多いほど俺にかかるストレスなんかは大きくなるし危険にもなる。カラ松にありがとなって言うと照れたように笑っていた。
浮き輪に乗りふらふらと海の上を漂っていたらチョロ松が危ないからって浮き輪の紐を自分の手に縛り付けてこれなら大丈夫ってドヤ顔をかましてた。
たくさん笑って、たっぷり日光を浴びて弟達と過ごす時間のありがたさを実感した。




これが限りのある時間だということも、分かっている。だけど俺にはもう引き止めるための足はない。もう1度あの時のようなことが起こった場合に備えて俺は手紙を書いた。弟達あての5枚と父さん母さん宛ての2枚、それとトト子ちゃんとかチビ太とかの友達宛に何枚か。手紙なんて初めて書くから、うまくかけてるとは思えないけど、精一杯の思いを込めて書いた。
後悔しないように、同じことが起きてもしっかりといけるように。

俺の杞憂は手紙に詰め込んで、笑っていよう。


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