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【ロビジュナ】プロポーズのはなし

いつもより、少しだけ特別な日だった。
町中がクリスマスというイベントに湧き上がる中であてられていたのかもしれない。ロビンが「出かけましょうか」と言ってきた日はちょうど私も休みの日で、珍しく一日じゅう外出することができる日だった。
どこに行きましょうかと私が問うと、珍しく、水族館にでもという言葉が返ってきて驚いた。水族館! あなた、そういうところ大丈夫なんです? と私が問うと何をもって質問してきているのか分からないという顔になったので私も黙っておいた。たぶん、そういう自然を「観察する」ところは嫌悪感を覚えるのではという懸念があったが、どうやら杞憂だったようだ。
私はといえばロビンに連れられて、当初はあちらこちらと楽しく眺めていたのに、ペンギンの水槽を見下ろしたあたりからロビンがそっと手を繋いできたので、そのあとはそれどころではなくなってしまっていた。誰かに見られたら、とも思ったのだけれど、周囲はほどよく混んでいるし、水族館は証明が落とされているからあまり目立たない。私は暗闇に紛れる肌に胸をなでおろして、繋がれた手の先、指の腹で彼の甲を撫でたのを覚えている。意外にも、私の肌よりも温かかった。
夕方までのろのろと探索をして、少し早いけれど食事でもどうですか、とロビンが言った。私はこくりと頷いて彼についていく。店を調べたりするのはいつも彼の仕事だった。時折、外出中に何処かに突発的に入ろうとなるとおおむね私の方が幸運値が良いので私が適当に選ぶのだけれど、今日はあらかじめ行く店を決めているようだった。
行ったのは創作料理を半分入れているというフレンチで、男二人ではあったけれど半個室で、ここもはやり照明が少し落とされていたのでほっとした。料理はおいしかったし、窓際の一面ガラスになっている横のテーブルだったせいか、眼下の煌きが目に入ってはそちらに気を取られる。ロビンの気を損ねた様子は無かった。意外とそういうの好きですよね、と言われたけれど、それがどこを指す言葉なのかは聞くのを忘れてしまった。

空腹も満たされて、帰りましょうかと駅へ向かおうとすると、ぐ、と手を引かれて、少し寄り道でもしましょうと言われた。
別にすぐに帰らなければならない時間でもなかったので、私が軽く頷くとロビンは私の手を引いて歩き出す。駅からの遊歩道を渡り、歩行者整備されている、人々のごった返す様子を横目で見ながらロビンは歩く。そこから少し人がはけたような広い公園内について、ロビンは私を振り返った。ここのイルミネーションは穴場なんですよ。ロビンの向こう側に、ライトアップされたツリーが見えた。白と青に彩られた木々に、私はほう、と息を吐く。
イルミネーションに感嘆していると、するり、と手が離される。私はそれを追いすがろうとして、視線の先に驚愕する。

「アルジュナ」

何故ロビンは跪いているのだろう。手の中に、ビロードの小箱。私はこの展開を知らないのに知っている。
心臓が早鐘を打った。
ロビンの薄い唇が、緩やかな弧を描きながら開く。

「結婚しましょう」

その中に光るのは、私の見間違いでなければ指輪だった。

「……オレはカルナと比べて英雄でもなければ神様の血を引いてるわけでもない、王子様でもないし、アンタを一生傷つけず守れる保証はどこにもない。……それでも、なんにも無いけど、俺を選んでくれます?」

ねえ、頷かない理由なんて、なかったのですよ。

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