ジャンル:ロビジュナ お題:混沌のプロポーズ 制限時間:15分 読者:161 人 文字数:1425字 お気に入り:0人

【ロビジュナ】プロポーズのはなし

いつもより、少しだけ特別な日だった。
町中がクリスマスというイベントに湧き上がる中であてられていたのかもしれない。ロビンが「出かけましょうか」と言ってきた日はちょうど私も休みの日で、珍しく一日じゅう外出することができる日だった。
どこに行きましょうかと私が問うと、珍しく、水族館にでもという言葉が返ってきて驚いた。水族館! あなた、そういうところ大丈夫なんです? と私が問うと何をもって質問してきているのか分からないという顔になったので私も黙っておいた。たぶん、そういう自然を「観察する」ところは嫌悪感を覚えるのではという懸念があったが、どうやら杞憂だったようだ。
私はといえばロビンに連れられて、当初はあちらこちらと楽しく眺めていたのに、ペンギンの水槽を見下ろしたあたりからロビンがそっと手を繋いできたので、そのあとはそれどころではなくなってしまっていた。誰かに見られたら、とも思ったのだけれど、周囲はほどよく混んでいるし、水族館は証明が落とされているからあまり目立たない。私は暗闇に紛れる肌に胸をなでおろして、繋がれた手の先、指の腹で彼の甲を撫でたのを覚えている。意外にも、私の肌よりも温かかった。
夕方までのろのろと探索をして、少し早いけれど食事でもどうですか、とロビンが言った。私はこくりと頷いて彼についていく。店を調べたりするのはいつも彼の仕事だった。時折、外出中に何処かに突発的に入ろうとなるとおおむね私の方が幸運値が良いので私が適当に選ぶのだけれど、今日はあらかじめ行く店を決めているようだった。
行ったのは創作料理を半分入れているというフレンチで、男二人ではあったけれど半個室で、ここもはやり照明が少し落とされていたのでほっとした。料理はおいしかったし、窓際の一面ガラスになっている横のテーブルだったせいか、眼下の煌きが目に入ってはそちらに気を取られる。ロビンの気を損ねた様子は無かった。意外とそういうの好きですよね、と言われたけれど、それがどこを指す言葉なのかは聞くのを忘れてしまった。

空腹も満たされて、帰りましょうかと駅へ向かおうとすると、ぐ、と手を引かれて、少し寄り道でもしましょうと言われた。
別にすぐに帰らなければならない時間でもなかったので、私が軽く頷くとロビンは私の手を引いて歩き出す。駅からの遊歩道を渡り、歩行者整備されている、人々のごった返す様子を横目で見ながらロビンは歩く。そこから少し人がはけたような広い公園内について、ロビンは私を振り返った。ここのイルミネーションは穴場なんですよ。ロビンの向こう側に、ライトアップされたツリーが見えた。白と青に彩られた木々に、私はほう、と息を吐く。
イルミネーションに感嘆していると、するり、と手が離される。私はそれを追いすがろうとして、視線の先に驚愕する。

「アルジュナ」

何故ロビンは跪いているのだろう。手の中に、ビロードの小箱。私はこの展開を知らないのに知っている。
心臓が早鐘を打った。
ロビンの薄い唇が、緩やかな弧を描きながら開く。

「結婚しましょう」

その中に光るのは、私の見間違いでなければ指輪だった。

「……オレはカルナと比べて英雄でもなければ神様の血を引いてるわけでもない、王子様でもないし、アンタを一生傷つけず守れる保証はどこにもない。……それでも、なんにも無いけど、俺を選んでくれます?」

ねえ、頷かない理由なんて、なかったのですよ。

同じジャンルの似た条件の即興二次小説


ユーザーアイコン
作者:ツナ缶 ジャンル:ロビジュナ お題:清い年賀状 制限時間:30分 読者:93 人 文字数:927字 お気に入り:0人
思えば誰にも住所なんて聞いていないし、誰かに教えた覚えもない。アルジュナは頭を抱えた。このアルジュナとあろうものが恥ずかしい!新年の風習はこの国出身でないとは 〈続きを読む〉

梟光司の即興 二次小説


ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:カルジュナ お題:遠いふわふわ 制限時間:30分 読者:26 人 文字数:3315字 お気に入り:0人
放課後、三人は短大の本棟入り口で、ネロの言う「迎え」を待っていた。孔明もアルジュナから声をかけたのだが「忙しい」とけんもほろろに突っ返された。確かに孔明はアルジ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:カルジュナ お題:ナウい映画 制限時間:15分 読者:75 人 文字数:1477字 お気に入り:0人
私とカルナはアジトにしている隠れ家たちを闇夜に紛れて襲撃し、その都度に部下を開放して回った。皆、ある程度は人権を守られていたようで、私は密やかに安堵の溜め息を 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:カルジュナ お題:意外!それはコメディ 制限時間:15分 読者:76 人 文字数:1473字 お気に入り:0人
人質を取られているというのに、一切の躊躇を感じさせない私たちに、予想が外れたとばかりに集まっていた下っ端たちが霧散していく。私はふと思い出したように手榴弾を取り 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:カルジュナ お題:美しいネット 制限時間:15分 読者:87 人 文字数:1354字 お気に入り:0人
カルナの言葉は、何故かすんなりと私の中に着地した。「行くぞアルジュナ」「……せめて、年上として敬う態度を、と叱りたいところですが、今はやめておきましょう」私は屋 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:カルジュナ お題:やば、電話 制限時間:15分 読者:87 人 文字数:1717字 お気に入り:0人
カルナと私の均衡が崩れたのは、奇しくも第三者たる存在が引き金となった。その日、私は珍しくスケジュールが崩れ、私用で繁華街へ出ていた。カルナに年相応の格好を、とブ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:カルジュナ お題:秋のエデン 制限時間:15分 読者:90 人 文字数:1797字 お気に入り:0人
本当にあいつは私の護衛にでもなりたいのだろうか。私の脳内の問いに答えてくれる人間は居ない。それこそ神であったとしても、私のこの問いに答えてくれたところで事態が好 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:カルジュナ お題:軽い本 制限時間:15分 読者:102 人 文字数:1431字 お気に入り:0人
さて、結論から言うと私は根競べに負けた。遥か東方ではお百度参りとでも表現するらしい。カルナは私の元へと度々脱走を繰り返し、とうとうボスが手駒として子飼いにしてお 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:カルジュナ お題:燃える人々 制限時間:15分 読者:128 人 文字数:1418字 お気に入り:0人
初めて見た時に、私にはそれが白い石の塊に見えた。例えば大理石を砕いたまま打ち捨てているような、それがこんな裏路地の片隅にあるとは思えなかったが。それは私が近づく 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:カルジュナ お題:僕の好きな恨み 制限時間:15分 読者:145 人 文字数:1269字 お気に入り:0人
私は一匹の獣を飼っている。さて、おかしいとは思っていたのだが、これはもう思わず口元を歪めてしまうくらいわかりやすい展開だ。例えばここが相手の経営するカジノの上に 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:カルジュナ お題:気持ちいい太陽 制限時間:15分 読者:66 人 文字数:1502字 お気に入り:0人
「カルナ、しんぞうって、どうやったらあげられますか?」アルジュナは丸い瞳を爛々を輝かせてそう言った。「しんぞ………心臓か」「そうです!」たっぷりの沈黙と困惑のあ 〈続きを読む〉