ジャンル:テニスの王子様 お題:純粋な哀れみ 必須要素:リアルな描写 制限時間:1時間 読者:42 人 文字数:2804字 お気に入り:0人

雪の話

(寮母と管理人でオリキャラ居るよー)

【雪が降った日】

「明日は東京都の学校、全部休校になるって。雪が酷くてなぁ……」

聖ルドルフ学院の男子寮にて、観月はじめは寮の管理人から明日の話を聞いた。
聞きつつも、窓の外を眺める。温かな談話室と違い、外は雪が降り続けていて冷え切っている。
談話室のテーブルで観月は煮出し式のミルクティーをお気に入りのティーカップで飲んでいた。
使った茶葉はアッサムのCTC製法のものであり、茶葉を最初から丸めて潰してあるため、
お茶の出がとてもいい。さらにはアッサムはミルクティーに良く合う茶葉だ。
牛乳もいいものを使っているし、

「休校ですか。それぐらいの雪に……」

「なるっぽいね。都会ってものすごい雪に弱いって聞いとるんやけど」

「雪かきの準備は出来ていますか」

「夕方に君らがスクールに行っとる間に赤澤君と金田君に手伝て貰て、スコップとかいくつか買といたわ。
ええ店員さんに巡り会えた」

テニススクールに行っていた観月達がテニスを学んでいる間に管理人は管理人で準備はしておいたらしい。
言葉からして、管理人も都会の雪は初めてというか不慣れなようだ。
管理人は湯飲みで観月が入れたミルクティーを飲んでいた。お裾分けをしている。
観月は管理人のことが嫌いではない。寮内ではある程度のルールさえ守ってくれれば自由にさせてくれている。

「故郷に比べたら、となりましたが都会は都会の事情がありますからね」

「せやね。こんな雪ならテニスも出来んし……電車とかも停まりそうやから」

「停まりでしょう。念のために訊いておきますが食料は」

「買い込んだ。さすがに二食は夕方に纏めて送ってもらっとるけど、早めたりとかスーパーで購入しとる」

「どうにか、過ごせるでしょう」

聖ルドルフ学院の寮は朝夕の二食が出る。昼が出ないのは校内の食堂か各自の持ち込みだからだが、
休校しそうだと言うことで買い込んで置いたそうだ。さすがに個人で雪のための準備をしろだなんて、
ことは言わない。

「ボクは雪は寒いとか冷たいとかとか暗いイメージしかなくてなぁ」

「そういうものでは。ロマンスを感じるのは子供時代でしょうに」

「……君、未成年やよね?」

「雪国出身者の雪との付き合いは甘いものではないのですよ」

管理人が聞いてくる。京都弁らしいものを使う彼に観月はかつての故郷のことを想い出しては、
ミルクティーを飲むことで気分を落ち着けていた。




「かまくら作れるぐらいには降らなかったか」

次の日、寮に来た赤澤吉郎に観月は哀れみの目を向けた。本気でかまくらを作ろうとしていたらしい。
赤澤も完全防寒だが観月も完全防寒だ。

「……君、かまくらを作りたかったのですか?」

「憧れるだろう。かまくらって」

東京都で小中学校が全校休校になるぐらいには雪が降り積もった。
一日オフのような状態であったのだが、観月にはやるべきことというか、雪かきが残っている。
管理人がホームセンターで探してきてくれたのは金属製のスコップを赤澤は持っていた。

「赤澤部長。それぐらいの雪が降ったら、東京都は壊滅していますよ」

「そうですよ。ただでさえここに来るまでも大変だったのに」

不二裕太と金田一郎も口々に言う。
裕太は壊滅と言っているがそれぐらいの打撃は受けそうではあった。
赤澤と金田は自宅があるが暇とか遊びに来たいとかで寮に来たのだが雪かきを手伝って貰う。
東京都にしては、雪が降った。
積雪は二十センチ、観月の故郷ではたいしたことが無い範囲に入るが東京都にとっては大ダメージだ。

「みんな、頑張ったら管理人さん特製の鍋が待ってるだーね。野村が鍋を手伝ってるだーね」

「女子寮の方の雪かきも手伝って欲しいってさ」

柳沢慎也と木更津淳も言う。
雪かきは男子寮や女子寮の前をすることになりそうだ。
女子寮については雪になれている者が何人か居るそうだが、それでも手伝いは居るだろう。

「これ、近所までしないといけないことになるかもしれませんね」

「観月さん、遠い目をしていませんか。誰かがやるので……」

「誰かやる人がこの辺りに居ると想いますか!? 細い路地とか除雪車が来ないんですよ!!」

この辺りと言うが女子寮や男子寮の周辺にはそこまで建物はない。雪の量は大分ある。
雪かきを開始しようとした矢先、声がした。

「男子テニス部の皆」

「寮母さん」

裕太が声の主に呼びかける。
黒髪の長髪に紫色の瞳、見た目は十代から二十代に見える女子寮の寮母が雪を踏みしめてきた。
着物の上に和柄のコートを羽織っている。今日は和服でいるらしい。
その割に足下は長靴だった。

「長靴……」

「是の方が良いらしくて」

「積雪量によってはブーツなんて役に立たなくなりますからね。役立つのは長靴ですよ長靴」

「観月の声に実感がこもっているだーね」

着物と長靴というちぐはぐな組み合わせであるようで歩くには丁度良い組み合わせだ。
何せ雪は怖い。溶けてきたら氷ったりしてさらにそれが危険だ。

「理事長から電話がかかってきたのだけれど、ここが終わったら、商店街の方の雪かきの手伝いと、
それと一人暮らしのお爺ちゃん達の見回りを頼むって。単位として奉仕活動として入れたりしておくから」

「女子の方は」

「似たようなもの。男子の出方で変えるって。……話によると商店街の方、雪で軽いパニックが起きてるみたい」

「寮母さんはどうして」

「鍋に入れるお味噌を貰いに来たの」

きらしたらしい。
女子寮の方も鍋らしいが鍋は楽だからだろう。味噌味なのは共通というか聖ルドルフ学院の寮は各地から
集まった生徒が居る。文句を余り出さない統一した味のために必要なのだろう。
聖ルドルフ学院はキリスト系の学院だ。

「観月、どうするんだよ。俺としては無理ですって返しても良いけど」

「……仕方が有りません……ここを終わらせて……」

「俺、かまくらは出来なくても雪合戦してーよ」

「まずは奉仕活動ですよ! 良いですね!! 鍋の手伝いをしている野村君も呼んできてください。それからテニス部も
生え抜き組も集めて……」

テニス部部長がアテにならない状態であり、毎度のことだとなりながらも観月は先のプランを考え始める。

「雪かきしておくか」

「そうですね。体力を使うみたいですけど」

「六角は今頃遊んでいそうだな……」

「終わったら遊ぶだーね」

裕太も金田も木更津も柳沢は自主的に動き始める。

「赤澤部長、まずは寮の雪かきを終わらせますよ」

「かまくら……」

「……秋田にでも行ってください」

まだ未練があるのか言う赤澤に観月はいらだちと哀れみの目を向けた。


【Fin】

同じジャンルの似た条件の即興二次小説


ユーザーアイコン
作者:はくまい ジャンル:テニスの王子様 お題:傷だらけの屍 必須要素:リアルな描写 制限時間:30分 読者:147 人 文字数:890字 お気に入り:0人
この歳になると、若くて顔の可愛い歌姫の猫の悲鳴みたいな声に、簡単に魂を揺さぶられたりしない。 全米が泣いた映画に涙が一粒も浮かばないこともあるし、ドラマの最終 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:テニスの王子様 お題:マンネリな動機 必須要素:リアルな描写 制限時間:30分 読者:598 人 文字数:731字 お気に入り:0人
最近の氷帝はどうも退屈だ。。部活もな。。確実に、俺が入学するってときに比べたらつまんねえと思うんだ。。あれだよ。刺激がねえ。今日もまた昨日と変わらねえ1日になる 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:てるい ジャンル:テニスの王子様 お題:遠いパイロット 制限時間:1時間 読者:20 人 文字数:1920字 お気に入り:0人
「あ、流れ星」「なんじゃ。見つけるの早いのう」満天の星空。それでも空で瞬く星にも負けない綺麗な銀色の髪が視界の端でひょこひょこと跳ねる。「仁王くんほんとは見つけ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
夫婦漫才 ※未完
作者:匿名さん ジャンル:テニスの王子様 お題:来年の夫 制限時間:1時間 読者:26 人 文字数:1061字 お気に入り:0人
「浮気かっ!死なすど!」「もー。心配せんでも、アタシにはユウくんだ・け・よ」「小春ぅ!」お決まりのセリフが部室に響く。今日は小春が金ちゃんにたこ焼きを食わせたの 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:宙@立海待機 ジャンル:テニスの王子様 お題:灰色の春 制限時間:1時間 読者:106 人 文字数:2086字 お気に入り:0人
春が好きだった。 愛する草花が咲き乱れ、新生活に少し緊張した人々が街にあふれ、誰もが何かが始まると期待をする。そんな季節に生まれたことを、何度だって感謝した。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:東堂みく ジャンル:テニスの王子様 お題:悔しい絶望 制限時間:1時間 読者:376 人 文字数:2839字 お気に入り:0人
※選抜合宿中の設定このところ、跡部が突っかかってこない。己を避けているようにも思う。事務的な会話はする。挨拶だって普通に交わされる。けれど、ただそれだけだ。いつ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:クニムラ@低浮上 ジャンル:テニスの王子様 お題:運命の使命 制限時間:1時間 読者:755 人 文字数:2345字 お気に入り:0人
人には必ずやり遂げなければいけない使命がある。例えばそれは、家族を支えることであったり、何かで成功することだったり。人によって様々だ。 たまたま俺の使命は家を 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:クニムラ@低浮上 ジャンル:テニスの王子様 お題:儚い自動車 制限時間:1時間 読者:372 人 文字数:1989字 お気に入り:0人
財日: 夢だと思った。 俺は学ランを着ていて、バスに乗っている。しかも、何故だか隣には、財前がいた。 我ながら都合がいい。 俺は財前が好きだ。だからきっとこの夢 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:東堂みく ジャンル:テニスの王子様 お題:真実の芸術 制限時間:1時間 読者:570 人 文字数:1869字 お気に入り:0人
「……なぁ、こんなとこホンマえぇの?」「何度も言わせんな。良いに決まってんだろ」キョロキョロと所在なさげに当たりを見回して不安そうな表情を浮かべる忍足に、半ば呆 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:東堂みく ジャンル:テニスの王子様 お題:遅すぎた宇宙 制限時間:1時間 読者:638 人 文字数:1104字 お気に入り:0人
「綺麗だな」「!う、うむ」突然降ってきた声に、不覚にも驚いてしまった。合宿中の、気を休めることのできる夜の一時。自主トレを済ませた後、何とはなしに外へ出て星空を 〈続きを読む〉

秋月蓮華(もしくは高槻翡翠)の即興 二次小説


ユーザーアイコン
作者:秋月蓮華(もしくは高槻翡翠) ジャンル:テニスの王子様 お題:12月の税理士 必須要素:スケベ人間 制限時間:1時間 読者:33 人 文字数:2621字 お気に入り:0人
【冬の日に君と僕は】U-17強化合宿に招待された氷帝学園中等部三年、忍足侑士は手伝いとして招集された中等部二年のアディシア・スクアーロを探していた。「忍足先輩。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:秋月蓮華(もしくは高槻翡翠) ジャンル:テニスの王子様 お題:暴かれた風邪 制限時間:15分 読者:27 人 文字数:1183字 お気に入り:0人
(ルドルフのある日)【風邪引きのこと】「……風邪が流行しとるねぇ」「してますね……無事なのが俺ぐらいって……」「柳沢君に留守はお願いしてきたけど、木更津君に観月 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:秋月蓮華(もしくは高槻翡翠) ジャンル:テニスの王子様 お題:絵描きの草 必須要素:テレビ 制限時間:15分 読者:35 人 文字数:756字 お気に入り:0人
(ルドルフで管理人さんとかいるよ)【とある日のやりとり】休日、聖ルドルフ学院の男子寮にて不二裕太がようやく起きてくる。欠伸をした状態でリビングルームに行けば管理 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:秋月蓮華(もしくは高槻翡翠) ジャンル:しんけん!! お題:鳥の夏 必須要素:太宰治 制限時間:2時間 読者:34 人 文字数:1831字 お気に入り:0人
【ある夏の日に】今年は猛暑だと言っていた。刀匠である斎庭白秋は屋敷内の庭で休憩をしていた。木によりかかり、煙草を吸いながら本を読んでいる。白秋はヘビースモーカー 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:秋月蓮華(もしくは高槻翡翠) ジャンル:テニスの王子様 お題:打算的な食事 制限時間:30分 読者:36 人 文字数:464字 お気に入り:0人
(U-17合宿にて)【作りたくなったから】「こう、合宿所の食事は味が濃くてなぁ……」「自分で調整すると楽って奴ですか。寮は平均で作ってるんですよ」U-17合宿所 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:秋月蓮華(もしくは高槻翡翠) ジャンル:テニスの王子様 お題:忘れたい善人 制限時間:4時間 読者:45 人 文字数:1623字 お気に入り:0人
(オリキャラ居るよ【忍足侑士と幽霊との雪の日】「遊びに来たぜ。侑士!」「寒いよ」「ここまで来るのが大変だったんだぜ」雪によって東京都中の小中学校が休校になった日 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:秋月蓮華(もしくは高槻翡翠) ジャンル:テニスの王子様 お題:黒いアレ 制限時間:30分 読者:37 人 文字数:1430字 お気に入り:0人
(オリキャラ居るよー)【忍足侑士と幽霊とのあれやこれ】U-17の合宿所にて忍足侑士は散歩をしていた。片手には雑誌を持っている。この雑誌はU-17の施設にあったも 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:秋月蓮華(もしくは高槻翡翠) ジャンル:テニスの王子様 お題:純粋な哀れみ 必須要素:リアルな描写 制限時間:1時間 読者:42 人 文字数:2804字 お気に入り:0人
(寮母と管理人でオリキャラ居るよー)【雪が降った日】「明日は東京都の学校、全部休校になるって。雪が酷くてなぁ……」聖ルドルフ学院の男子寮にて、観月はじめは寮の管 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:秋月蓮華(もしくは高槻翡翠) ジャンル:文豪とアルケミスト お題:阿修羅悪魔 制限時間:30分 読者:33 人 文字数:1603字 お気に入り:0人
【おやつの恨み】「オジサンとおやつ、食べに行こう、な」「……」「パンケーキにするか。白玉善哉にするか」「どっちも」不機嫌な特務司書の少女を井伏鱒二は背後から抱き 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:秋月蓮華(もしくは高槻翡翠) ジャンル:文豪とアルケミスト お題:小説家たちの傑作 制限時間:1時間 読者:43 人 文字数:2282字 お気に入り:0人
【傑作とは】「うたいきてる」『うたあんどん。わざとね』特務司書の少女は帝國図書館分館の本棚で泉鏡花著『歌行燈』を手に取る。文庫本サイズだ。タイトルの訂正を入れた 〈続きを読む〉