ジャンル:おそ松さん お題:可愛い壁 必須要素:MD 制限時間:30分 読者:127 人 文字数:954字 お気に入り:0人

廃墟にて

 冒険ごっこをしたことはあるだろうか。格別のスリルと高揚をもたらすその遊びに、少年たちは文字通り身をすり減らして励むのだ。むろん悪童時代の松野家の六つ子たちも例に漏れず、河原や空地の土管、廃屋を駆けずり回って遊んでいた。彼らにとって河原は無限に広がる草原であった。空地の土管は秘密結社のアジトで、廃屋はモンスターの巣くう魔王城である。
 すこし歩いたところに大きなお城があるんだ、とおそ松がこっそりと伝えたとき、兄弟じゅうで反対するものなど誰一人いなかった。うわあ、すごいや、行こう行こう!ぼくらはいきり立ってこの素敵な冒険に向かったのであった。六つ子らしく、足並みをそろえて。
 お城は廃業したラブホテルであった。見たこともない調度品、心奪われる謎の機械、円形のベッド!ぼくたちは大はしゃぎで遊びまわり、そして、廃墟になってから幾人も訪れた招かれざる客人たちと同じように、ごてごてと悪趣味な部屋を破壊しつくした。
 興奮冷めやらぬままいくつもの部屋を徘徊するぼくは、遠く聞こえる兄弟の喧騒を聞きながら、引き出しを物色する。探索の仕事はぼくの得意とするところで、今回も一セットのトランプを見つけてお宝発見、ニンマリと笑う。さあ、肝心の中身を見て腰を抜かした。カードの柄はすべて金髪碧眼の男と女のポルノ写真!なまなましい肉体を蛇のようにくねらせて、様々な体位で交わる写真。女のこちらを見る目線は色に濡れ、ぼくはそのカードから目を離せなくなった。
 だから、兄がそっと近づいてくるのに気付けるはずもなかったし、あっと声を上げた、カラ松にいさんにぼくはすっかり吃驚してしまった。これが何なのかもわからぬまま、見てはいけないものを見てしまったというショックだけがぼくとカラ松の間に気まずく揺蕩っている。カラ松はぼくの手からトランプを取り上げ、ベッド脇のチェストの裏に放り込んでしまった。カラ松は当時どこまで性について知っていたのだろうか? これ以降、あのカードの話をすることはなかったし、そのあとなにもなかったかのように兄弟の喧騒に紛れたので、ついこの間までこの一件を忘れていたのだけれど、あの廃ホテルが取り壊されるまで、ぼくと兄さんだけの秘密はあの壁に確かにあったのだ。一松は今はない壁に少しだけ愛おしさを覚えた。

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