ジャンル:ロビジュナ お題:正しい決別 制限時間:15分 読者:166 人 文字数:1362字 お気に入り:0人

【ロビジュナ】手から離れていくのなら

「私たち、別れましょう」

カルデア内の廊下で、出会い頭にアルジュナから投げられた言葉に、ロビンフッドはゆっくりと二度、瞬きをした。アルジュナは内心で早くねたばらしのためにビリーたちが乱入してくれないかと思っていた。何のことはなく、ビリーのイカサマに気付くことなくゲームに負けてしまい、趣味の悪い罰ゲームとして、ロビンフッドへの別れ話(偽)をしてこいと命令されたのだ。ロビンフッドとアルジュナは確かに恋人同士であったけれど、アルジュナは、ロビンフッドならばこんな申し出はすぐに頷くだろう、と気が気ではなかった。常に飄々とした風体のロビンフッドは、アルジュナのどんな言葉にも揺らがないと、アルジュナは想像していた。
だからこそ、次に届いた声の色に、反応が遅れた。

「へぇ」

ぞっとするような、無色の声。
感情が抜け落ちたといっても過言ではない音。
アルジュナは知らず逸らしていた視線を持ち上げ、ロビンフッドを見ようとする。しかしロビンフッドの姿を捉えるよりも早く、肩が強かに打たれ、足払いを掛けられる。咄嗟に受け身を取ろうとしたアルジュナの両肩を掴み、馬乗りになる形でロビンフッドが体重をかけてきた。
予想だにしなかった動きにアルジュナの身体が強張る。
固い廊下に転がされ、顔を挟む形でロビンフッドの両手が床についている。フードを目深に被った姿のロビンフッドの表情は逆光と相まって、薄暗く、うまく判別できない。

「そういうこと、言っちゃうんですねぇ」
「あ、の」

アルジュナが何を言うべきか迷っている間に、ロビンフッドの右手が持ち上げられる。耳をなぞり、頬を辿り、ロビンフッドの親指がアルジュナの唇を柔らかく押す。
ふ、ふふ、とロビンフッドの口から、吐息のような笑い声が零れる。しかし、アルジュナはその音に混じった仄暗さを敏感に感じ取った。

「……オレの愛した、唯一の王。無碍に捨て置いた過去と死にましょう」

アルジュナが魔力を集中させるよりも、声を上げて誰かを呼ぶよりも早く、ロビンフッドの唇がアルジュナのそれに重なる。瞬間、流し込まれた甘さにアルジュナの身体が反射的な抵抗を示したが、全身でのしかかるようにロビンフッドがアルジュナの唇を覆い、離さない。

「ん、ぅ――ッッ!!」

呼吸がままならない。脳裏が焼ける。指先が痺れる。魔力の流れが滞留し、困惑するアルジュナを、至近距離でじっと見つめ続けるロビンフッドの瞳はただただ冷静だった。

「(あぁ、私は、この男に殺されるのか)」

先程流し込まれたものがロビンフッドお得意の毒であったことに、ようやくアルジュナは気付いた。気付いたところでどうにもならない。解毒薬を持っているのはロビンフッドだけであるし、最早アルジュナは声すら出せない。

「(……存外愛されていたのだと、そう思えるくらいには……)」

重くなった瞼を閉じたアルジュナは、次第に意識を霞ませていく。
そのため、アルジュナの霊基異常を感じ取ったマスターと数名のサーヴァントたちが駆けつけたことも、ビリーによって盛大なネタ晴らしと逆ギレの右ストレートを食らったロビンフッドのことも、大急ぎで解毒に霊基調整にと回されることになったことも、眠るアルジュナただ一人が預かり知らぬこととなったのだった。

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