ジャンル:黒子のバスケ パラレル お題:失敗の軽犯罪 制限時間:15分 読者:100 人 文字数:560字 お気に入り:0人

ある日の12

ここより他に行くところもなし。
この屋形にたどり着いた者のほとんどが、そうだった。十になるかならないかの子どもは、銭と引き換えに屋形に引き取られる。下働きになるか、陰子になるかは、容姿で決まった。陰間としての才が無ければ、途中まで陰子として育てられても、男衆の子方になるように言われる。洛山楼は屋形を三つ抱えており、揚屋もやっている。働き手はいくらいても良かった。
征十郎が陰間になることになった時、同じように陰子として育てられている子どもがいた。ヒロヤと言った。ヒロヤは三味線が下手だった。よく三味線の師匠に叱られて、べそをかいていた。肌の色が雪のように白く、唇の紅がよく映えた。
このまま育てばいいけどねぇ
女中のトシが着付けをしながら言った。予言のようなその呟きは、ヒロヤを怯えさせた。同じ時期、太夫の付き人になったが、その頃、ヒロヤは盗みをするようになった。あんただろう、という同じ屋形の者の怒鳴り声、ヒロヤはどこだ、と捜す声。征十郎は目の前を走っていったヒロヤの行き先を誰にも教えなかった。ヒロヤは御礼、と言って、田楽を差し出してきた。盗んだ金で買った田楽を、空腹だった征十郎はすべて平らげた。陰間の一番下、まだ陰間にもなれていない自分たちは、助け合わねばならなかった。助け合いたかった。どこにも味方がいない。

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