ジャンル:東方Project お題:栄光のクリスマス 必須要素:爆弾 制限時間:30分 読者:49 人 文字数:1901字 お気に入り:0人

古明地こいしのプレゼント(仮) ※未完


 

 
 クリスマスくらい帰ってきてほしい、と思っていたところである。ペットの動物の手によって、やたらに飾られた地霊殿の一室、その椅子にひとり座って、古明地さとりはなんとなく考えていて、しかしほとんど諦めてもいるのだ。
 さとりの妹、古明地こいし。随分前に、地霊殿からふっといなくなって、それ以来まったく帰ってこない、というほどでもないけれども、ごくまれにしか帰ってこないし、不定期だ。こういう、クリスマスのような、イベントを節目にして帰ってくるとか、そういう気づかいのある娘でもない。さとりが得意にしている読心も効かないので、なにを考えているか分からず。さとりにはお手上げである。
 今年もたぶん、帰ってこないだろうな。そんな気持ちで、ペットの動物たちが楽しそうに、クリスマスの料理を作っているのを眺めている。地獄鴉の方、霊烏路空という、少々、いや、だいぶ頭の悪い方が、七面鳥を核融合エネルギーで焼き上げるという、どこから突っ込んでいいものか分からない調理をしている。火車の猫、火焔猫燐の方は、何やら出所不明の素材を包丁で切っている。さとりはなにやら、不安である。しかし自分とて料理が上手なわけでもないので、黙って見ているほかない。

「ちょっとお空。その七面鳥、生焼けじゃないかい?」
「そんなことないよ、お燐。これはレアっていうんだよ」
「七面鳥をレアにしたらバイオテロだよ。あたいの調理してる、これならともかくさぁ」
「……それ、なに?」

 大丈夫かなぁ。だめだろうなぁ。いよいよ口出しをしようかと思ったところで、ふいに、部屋の扉が勢いよく開かれた。敵襲か? こんな、クリスマスの日に。まさか、と思いつつ、さとりも、調理していた二人も、素早く臨戦態勢。
 そして、すぐにその緊張は取り払われた。扉の向こう側にいたのは、さっきまでさとりが想像していて、しかしそこにいるのは想像していなかった人物。

「メリークリスマス!」

 なにやら、ものすごく大きな箱、しかも綺麗にラッピングされている、それを頭上に持ちあげて、こいしは満面の笑顔で、立っている。

「こいし様! 帰って来ていたんですね」

 ペットのふたりは大喜びだ。こいしが地霊殿で大人しくいていた頃から、ペットたちはこいしと仲良しだったと、さとりは思い返す。さとりとこいしは、さとりの視点からすれば、今も昔も、仲良しの姉妹だろうか。それはどうも、自信を持って結論付けられぬ。
 ともあれ、こいしが珍しく、イベント事で戻ってきたのである。さとりとしても、こいしがいた方が楽しいのは、また間違いない。

「こいし。おかえりなさい」
「んー。メリークリスマス!」
「め、メリークリスマス」
「お姉ちゃん。クリスマスの挨拶はぜんぶメリークリスマス! だよ。知らないの?」
「そうだっけ」
「そうなんです」

 こいしの会話にはたいてい意味がないので、さとりとしても、宙に浮いたような返答ばかりになってしまう。これでも、実際のところ、さとりは緊張しているような、いつもお燐やお空と喋っているときと、別のプロセスで言葉が出てくるような、そういう気分になる。

「こいし様。これ、開けてもいいですか?」

 お空が、いつの間にやらひったくっていた大きな箱を持ちあげて、目を輝かせている。

「いいよ。私からのプレゼント!」

 こいしはなにやら、嬉しそうである。さとりにはその理由は分からぬ。そもそも、こいしが誰かにプレゼントをあげているところは、初めて見るように思えた。それは、家族である三人に対しても、同じことであった。
 お燐とお空が、丁寧にラッピングの紙をはがしていく。こいしはニコニコして、その様子を眺めている。さとりは、仕方がないことを色々考えていたが、しかし、目の前の様子は、率直に微笑ましく思った。なんだか、家族だなぁとか、そういう心持ちである。

 不意に、部屋にベルが鳴りわたる。

「電話だわ。私が出ます」

 楽しそうにしているお燐、お空、こいしに一声かけて、さとりが受話器を取りに行った。電話は、心が読めないので苦手だが、それでも連絡用に、仕方がなく用意しているのであった。
 さとりは受話器を取ると「もしもし、地霊殿ですが」と何も考えずに言う。

「古明地さとり。理由は訊かないこと。いますぐ行動に移しなさい」

 一方で、電話の相手の声は、ずっと緊張していて、ものすごく場違いで、しかし、切羽つまっている。

「今、その部屋にあるプレゼントの箱。それを絶対に開けさせないようにしなさい。そうしないと、……」

 

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