ジャンル:血界戦線 お題:失敗の春 制限時間:30分 読者:29 人 文字数:1108字 お気に入り:0人
[削除]

パーティーは終わり

 グラスのビールはもうすっかり泡も消えて温くなり、その液面はどのグラスもまちまちだった。紙皿には肉汁と油の混ざった染みが二重に丸く広がっていくつも並び、空の串や食べかけのものも。バラの棘に似てこちらを向き、一人残されたスティーブンの現実とは裏腹に、まだ夢を見ていたいと拗ねて尖っていた。かつてニューヨークであったヘルサレムズ・ロットでは、ゴミの回収がやっと新たな軌道に乗った。燃えるゴミは毎週月水金に回収がある。集積地に溜めておいたゴミは、異界の住人が大喜びで食糧として平らげていくので、パーティーの終わり、それを集めるのはスティーブンの大事な仕事だった。後ろ髪を引かれる思いを断ち切るには打ってつけの仕事だ。部屋もきれいになって、達成感さえある。いいじゃないか、ゴミの片づけ。楽しい仕事ほどすぐに終わってしまうもので、ものの二十分もしないうちに部屋のゴミは異界の腹行きのものとそうでないものに分けられる。あとは明日出勤してきたハウスキーパーがうまいこと処理してくれるはずだ。彼女のローストビーフは今日も大好評だったことを伝えなければ。これも、ああ、昨日のことになってしまう、今この瞬間もまさに、昨日のことになろうとしている。全速力で未来に進むということは全速力で過去から逃げていることにもなるんだろうか、と欠伸を噛むスティーブンはもう三十代も半ばを迎えようとして、ティーンエイジャーはすっかり見えなくなるほど遠ざかった過去だった。シャワーは明日にして、今日をもう終わらせてしまおう、ちょっと勿体ないけれど……。
 ティーンエイジャーの頃でさえやったことのなかった、ベッドへのダイビングをすんでのところで中止した。銀髪の先客があった。パーティーの客はもう全員お帰りいただいたはずだと首を傾げ、その髪へ手を伸ばした。浅黒い肌の狸寝入りが寝返りを打って、まだなお作った寝顔をこちらに向けている。我がことながらこんなに深いため息が出るとは。
「ザップ」
「……寝てるんで起こさないでもらえます」
「寝言にしてははっきりしてるな」
「寝言に返事しねえでくださいよ」
「ほら、起きてるじゃないか」
 一体どうした、と狸寝入りの、閉じた目蓋がうっすら開いてスティーブンを疑っていた。
「いや何つうか、大したことじゃねえっすよ」
 ただ、どこぞのお人好しのレオナルドが言うには、パーティーが終わったかぎっ子はすっげえ淋しがってるって、俺のとこに通報が入ったんスわ。
「それで?」
「まあ、寝床を追い出されたんで」
「それで泊まりに?うちを寝床にするとはいい度胸じゃないか」
「そうっすね、まあ、悪くない選択だったと思いますけどね」

同じジャンルの似た条件の即興二次小説


ユーザーアイコン
作者:秋月蓮華 ジャンル:血界戦線 お題:出来損ないの小説家 制限時間:30分 読者:53 人 文字数:1644字 お気に入り:0人
(オリキャラ居るよー)【ライブラのとある日】その日、レオナルド・ウォッチがライブラの執務室に入るとソファーでエルセリーザ・ディライトが仰向けに寝そべりながら小説 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:世界の墓場から ジャンル:血界戦線 お題:小説家たちのサッカー 制限時間:30分 読者:400 人 文字数:2386字 お気に入り:0人
僕が文筆家を目指したのはなんてことはない、僕にとって多くのものをことばにするという行為が息をするのと同じだったからだ。こういうと難しいけれど、つまり僕は日記を書 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:りっしんべん ジャンル:血界戦線 お題:情熱的な経歴 制限時間:30分 読者:414 人 文字数:1040字 お気に入り:0人
「ハロー、ミスターステファン」 呼ばれたスティーブンは振り返り、そして振り返ったことを後悔した。「えー、と。どうも、ミスター……」「ダニーで構いませんよ。ステフ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:世界の墓場から ジャンル:血界戦線 お題:煙草と祖母 制限時間:30分 読者:400 人 文字数:2154字 お気に入り:0人
ニコチンとタールが僕の妹の両足を奪った訳ではない。そうだと分かっている、と言い切りたいところだけれど、ミシェーラの足がなんで生まれつき動かなかったのかは、単純に 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:りっしんべん ジャンル:血界戦線 お題:東京血 制限時間:30分 読者:407 人 文字数:1241字 お気に入り:0人
それは極東の島国より来た。 血界の眷属と呼ぶにはあまりに人をかけ離れ、しかしグールたちとも違う。 かの異界人の名を、ただ一言――鬼と呼んだ。「止まれ……ッ!」 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:こけら。 ジャンル:血界戦線 お題:あいつと話 制限時間:30分 読者:345 人 文字数:971字 お気に入り:0人
自分には、後ろめたいものが山ほどにある。そして、クラウスはそれをよく分かっている。分かった上で、何も訊かずにいてくれている。そう思っていた。いや、正確には、そう 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:花宮学教授こめの ジャンル:血界戦線 お題:苦しみの汁 制限時間:30分 読者:392 人 文字数:708字 お気に入り:0人
「時にクラウス、君はコーヒーを嗜むことはしないのか」常日頃からギルベルト氏の紅茶に舌鼓を打つ姿は見慣れているが、彼がティーカップでなくコーヒーマグを持っている所 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:世界の墓場から ジャンル:血界戦線 お題:肌寒い芸術 制限時間:30分 読者:465 人 文字数:1743字 お気に入り:0人
七歳の冬に洗礼を受けた。そういう気まりだったから。腰まで水に浸かって、そして頭からもかけられる。それが何を意味するのかは分からなかった。生まれなおすこと、羊水か 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:りっしんべん ジャンル:血界戦線 お題:複雑な体 制限時間:30分 読者:776 人 文字数:1356字 お気に入り:0人
「うっ……わぁ」 ダニエル・ロウが食べかけの特製サンドウィッチから、ソースが垂れることすらも忘れて見入ったのは、視線の先から歩いてくる見知ったモデル体型の男だっ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:りっしんべん ジャンル:血界戦線 お題:きちんとした第三極 制限時間:30分 読者:607 人 文字数:1150字 お気に入り:0人
今日のスティーブンは珍しく緊張していた。いつもよりコーヒーを2杯も多く飲んでは、その緊張をごまかしている。 なにせ、今日は我らが愛すべきライブラのリーダー、ク 〈続きを読む〉

匿名さんの即興 二次小説


ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:キルミーベイベー お題:騙された黒板 制限時間:15分 読者:25 人 文字数:591字 お気に入り:0人
いつも通りあてもなく校内を歩いていた時のこと。「ぉ……?なんだこれ?」使われていない教室の黒板にでかでかと書かれているのは、ほぼ確実に私へ宛てたと思われる書き置 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:VOICEROID お題:純粋な武器 制限時間:1時間 読者:2 人 文字数:2315字 お気に入り:0人
その日、私は蔵の中を捜索していました。 琴葉家はそれなりにいいところの家――所謂旧家のようなものでありますので、蔵というモノを持っています。蔵にはご先祖様が使 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:アイドルマスターSideM お題:出来損ないの冤罪 制限時間:30分 読者:5 人 文字数:1195字 お気に入り:0人
「ジュンはさ、好きな人とかいる?」長机の斜向かいから飛んできた声に卵焼きを挟んだ箸が宙で停止した。「はい?」時は昼、話はさっきまでは次のライブの演出についてだっ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:高崎ナル お題:今日のゲストは薔薇 制限時間:30分 読者:10 人 文字数:1012字 お気に入り:0人
「ふう…」真っ赤な椅子に居座るのは少し身分不相応なまるでスラム街の孤児のような男。ギィ…となんとも立派なドアが開き、そこから1人の可憐な少女が顔を出す。「おや。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:大逆転裁判 お題:魅惑の曲 制限時間:15分 読者:17 人 文字数:407字 お気に入り:0人
「ねえ、何か歌ってよ」親に捨てられた身の上というのに、イーストエンドの子供たちは夜になると子守歌をしつこくせがんだ。潤んだ大きな眼、服の裾を掴む思いのほか強い力 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:刀剣乱舞 お題:間違った職業 制限時間:30分 読者:28 人 文字数:780字 お気に入り:0人
「俺は刀剣男士だ」「そうだね」「なのになんで畑仕事なんかやる必要があるんだ……」和泉守兼定はため息をついて鍬の刃先を地面にさした。まだ手をつけていなかった畑の土 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:文豪とアルケミスト お題:楽しい爆発 制限時間:30分 読者:31 人 文字数:737字 お気に入り:0人
遠くから、きゃーっ、と誰かが叫ぶ声が聞こえた。それも複数。ただその声音は、切羽詰まった助けを求めるようなものではなく、元気で楽しげなもの。それなら気にしなくても 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:スーパーダンガンロンパ2 狛日 お題:かたい雑草 必須要素:恋愛要素以外 制限時間:15分 読者:18 人 文字数:921字 お気に入り:0人
「狛枝!今日はお前は草むしり当番だ!」いきなりコテージの扉を開け日向クンがそう言い放ったのは約15分前。昨日ボクはなにかやらかしただろうか。もしそのバツなのだと 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:イケメン戦国 お題:天才の死 制限時間:30分 読者:10 人 文字数:769字 お気に入り:0人
知らなかった。こんな世界があること。うだるような暑さの中、家康は人里離れた山奥を一人で歩いていた。あたりに人影はなく、ただ波のような蝉の鳴き声だけが一面を覆い尽 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
母との約束 ※未完
作者:匿名さん ジャンル:ミイラの飼い方 お題:昔の母 必須要素:生理 制限時間:30分 読者:8 人 文字数:473字 お気に入り:0人
こ「空良いこと空が幼少期の時?あなたが女の子って言うことは誰にも言ってはいけないわ」空の母ひまわりは悲しそうな顔で最愛の愛娘空にそう告げた。「どうして?」空は不 〈続きを読む〉