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廃棄パイロット(リーズナーもどき冬馬) ※未完

漂流してから52時間が経過しようとしていた。
否、正確には、通信機の不調で母艦の座標が特定できなくなり、訓練生時代に座学で習った漂流時マニュアルを思い出して内蔵ライブラリから該当マニュアルを引っ張り出し、悪戦苦闘の果てにタイマーを作動させてから52時間だ。母艦の信号をロストしてからは、もう60時間以上経っているような気も、やっぱり52時間程度な気もした。
(……や、52は嘘だな。座標系システムの読み込み再起動だけで2時間は使ったはずだ)
無駄に潤沢に用意されていたサバイバル用補給ゼリーを飲み干して、冬馬はコクピットで背伸びをした。こんな時にできることはどこにいても同じで、機内の好きなところにいればいいのだが、どこに居たいと聞かれれば、座り慣れたこの狭いコクピットの座席が一番落ち着いた。
現在、当機は通信座標システムロスト時のマニュアルに則って自動光学航行中だ。つまり、全天の星の光と星座をもとに自機の位置を推測して、母星に帰るのに利用できそうな重力場(つまり適当な惑星か恒星)が見つかるのを待っている。
幸いなことに、戦闘機であるこの船は相当な速度で宇宙を突っ走りながら該当惑星を探索していたが、冬馬機の相当な速度などおよびもしない範囲で宇宙は広く、しかも冬馬の機体は恒星系を外に向かって進んでいたので、時間が経つほどに該当惑星の発見確率は下がっていく計算だった。
もう少しログが貯まれば自機の位置が特定できて、この恒星系の構造もわかって、帰投経路も見つかるかもしれないが……見つからなければ、外宇宙行きだ。帰還確率はもっと下がる。酸素ほか各種資源節約のため、その時はコールドスリープが実行されるとマニュアルには記載されていた。
天文学的な確率で帰り着くまでは氷の眠りにつく。
それは、死ぬのとどう違うんだろうか。
(死ぬ……のか、俺)

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