ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:男のお尻 制限時間:30分 読者:54 人 文字数:1775字 お気に入り:0人

教師Iの野望

日本の夏は暑い、というのは前々から耳にしてはいたが、ここまでとは思わなかった。
放課後にコンビニに寄って、アイスが並んだクーラーボックスの前で今日食べるアイスを選び購入し、店内のイートインスペースでそれを食べている時に、先日「英語教師」になった金髪美貌のハニートラッパーは飽きずに何度もそう繰り返す。
「まあ、ビッチせんせーは今までセレブなとこばっか仕事で行ってたろうから、クーラーの恩恵を受けた状態しか知らなかっただろうけどさ。あたしらみたいな落ちこぼれはクーラーなしの教室で頑張るっきゃないのよ」
莉桜がどこかシニカルな目線で、ガリガリくんを齧りながら悟ったようなセリフをつぶやいた。
「んー、でもさ。この前殺せんせーがプール作ってくれたじゃない? あれ、だいぶ助かったよねー」
チョコモナカジャンボをこちらまで幸せになりそうな顔で齧りながら、寿美鈴がフォローする。今日のイリーナの放課後の寄り道のお付き合いは、莉桜・寿美鈴という珍しいコンビだ。
「そうそう! 木陰も結構涼しいし、案外外にいた方が涼しいのかもしんないよね、E組のらへんって」
「プール……? ああ、そういやなんかカラスマが言ってたわね……。あのタコ、水が苦手らしいのにプールも担当してるって」
木ベラでシャクシャクと「白くま」をつつきながら、イリーナが相槌を打つ。最初のうちは「なんでスプーンないの!?」と騒いでいたイリーナは、気がつけば木ベラの使い方が異様に上達したものだ。

「そういえばへんな話だよね、体育の担当って普段は烏間先生なのに、わざわざ弱点である水泳の授業だけ殺せんせーが担当って」
「だよねだよね。烏間せんせーの水着姿、ちょっと見てみたかったのに」
「烏間先生、実は泳ぎが苦手とか?」
「あー、前聞いたけど、あいつ泳ぎも化物クラスよ。遠泳でサハリンまで行ったことあるとか」
「うひょわ」
「うわー……さすがだなぁ、烏間先生」

しゃくしゃく、と木ベラが氷を削る音がしばし場を支配する。
普段顔を付き合わせている人間がこうも人間離れしていることを、改めて耳にすると感嘆のため息しか出てこない。

「……そうよね。あいつ、武道全般に通じてるし、足も速いし、身のこなしも軽いし馬鹿力だしで、たぶんオッソロしいほどに鍛えてんのよね……」
どうやら大事に取っておいていたらしい、白くまの上に乗った冷凍みかんを、モグモグと咀嚼しながらイリーナは腕組みした。
「あー、だろうねー。体育で組手みたいなことやると、なんていうか圧? みたいなモンが違うなって思うし」
「ビッチせんせーの白くまもおいしそうだな……次はそれにしよっかな……」
同意する莉桜に、上の空で白くまを見つめる寿美鈴。イリーナはわずかに眉間に皺を寄せた。
「……一度見てみたいわね、カラスマの身体」
ぶっ、と莉桜が軽くガリガリくんを吹いて、のちすぐにケラケラと笑い出した。「き、気持ちはわかるけど、ビッチせんせーストレートすぎ」
寿美鈴は、どう反応していいのかわからないような、少し困ったような表情を浮かべる。
「だって、あんたらの体育の授業の時だって、あいつワイシャツで授業してんでしょ?」
「確かに、せいぜいワイシャツの袖をまくるぐらいだね……」
「あれ見てて暑くないのかなって、いつもちょっと心配」
「つまり、あいつの身体って誰もまだ拝んだことがないわけでしょ?」
「あー……修学旅行の時も、そういや気がついたら浴衣に着替えてたし」
「スーツと浴衣ぐらいっきゃ見たことないね、そういえば」
「ぜったいめっちゃくちゃ筋肉ついてるわよ……きっとおいしそうなお尻とかしてんのよ、あいつ」
今度は莉桜と寿美鈴、両方がアイスを噴き出した。げほげほと咳をする二人を尻目に、イリーナのヒートアップは止まらない。
「気になるわ……どうやったら見ることができるかしら、あいつの裸」
「……菅谷に協力してもらって、ヌードデッサンのモデルにでもなってもらったら?」
「それよっ莉桜! 教育のためなら文字通りあいつもひと肌脱ぐかしら!」
「……そうかなあ」

コンビニの片隅でひとり闘志を燃やす彼女の思いは、多分当人に通じることはない。
教員室の片隅で彼は密かにくしゃみをしていた。
「誰か噂してるんですかねぇ」
「夏風邪だろ」

同じジャンルの似た条件の即興二次小説


ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:アルパカの慰め 制限時間:30分 読者:90 人 文字数:1411字 お気に入り:0人
まるで敵のいない野っ原に放り出された草食動物みたいに、クッションを抱えてソファに座り、どこでもない虚空を見つめてぼうっとしているものだから、烏間は思わず心配にな 〈続きを読む〉

からいりくじらの即興 二次小説


ユーザーアイコン
作者:からいりくじら ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:ラストは男祭り! 制限時間:30分 読者:17 人 文字数:1463字 お気に入り:0人
「いやー、やっぱああいう血湧き肉躍る競技は男子の専売だねぇ。超興奮しちゃった!」体育祭の棒倒しが終わり、閉会式も終えて。校庭のパイプ椅子を片付けながら、興奮気味 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:からいりくじら ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:輝く悪 制限時間:30分 読者:30 人 文字数:2080字 お気に入り:0人
「カラスマってさ、この世には絶対的な正義みたいなものがあって、自分は何があってもそっちサイドですって顔をしてること、ない?」あたし、自分を使うオトコの実力を見極 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:からいりくじら ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:元気な故郷 制限時間:30分 読者:35 人 文字数:1965字 お気に入り:0人
殺気を感じて立ち止まると、すぐ横のコンクリートブロックの塀に、ビシッと音を立ててペイント弾が命中した。気付かずそのまま歩いていたらば、ちょうど烏間のこめかみに命 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:からいりくじら ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:進撃の内側 制限時間:30分 読者:48 人 文字数:1929字 お気に入り:0人
「……で? なんだコレは」「なにって、ランジェリー」「おれには紐にしか見えん」「えー。この繊細なレース使いがわかんないなんて、どんだけ朴念仁なのよカラスマぁ」烏 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:からいりくじら ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:悔しい男 制限時間:30分 読者:53 人 文字数:1553字 お気に入り:0人
持ち帰りの仕事がようやくひと段落ついて、烏間がようやくベッドにやってきた時。彼の恋人であるイリーナ・イェラビッチは、いつもの「この衣服には一体どこを保護する目的 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:からいりくじら ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:失敗の食卓 制限時間:30分 読者:44 人 文字数:1699字 お気に入り:0人
熱で浮かされた頭に、おずおずと濡れタオルが乗せられた感触。その心地よさにふっと目を開けると、あまり見ない驚いた顔の烏間がそこにいた。「……すまん。冷たかったか」 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:からいりくじら ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:真実の血液 制限時間:30分 読者:51 人 文字数:1504字 お気に入り:0人
「——時々不思議になるのよねえ」熱心に砂場で「おしろ」を作り続ける娘をぼんやりと眺めながら、木陰でイリーナは呟く。「なにがだ」吹き抜ける風の心地よさに目をつぶり 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:からいりくじら ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:突然の宇宙 制限時間:30分 読者:47 人 文字数:2018字 お気に入り:0人
「ねぇんカラスマ――」「甘えた声を出そうが、ダメなものはダメだ」「……ちっ」先ほどからさんざ「授業なんかかったるい」「やってられない」「そもそも教師なんかやった 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:からいりくじら ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:幼い土地 制限時間:30分 読者:49 人 文字数:1505字 お気に入り:0人
「人を育てる——……か」生徒たちの乗ったバスを見送ったイリーナが、ぽつりと呟いた。「あいつからのアドバイスブックにあった言葉、か」吹けば飛びそうなほどに小さな言 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:からいりくじら ジャンル:暗殺教室 烏イリ お題:俺と霧 制限時間:30分 読者:49 人 文字数:1517字 お気に入り:0人
複雑なようでいて、単純で、だけど複雑。イリーナ・イエラビッチという女は、おれにとってはそうとしか言いようのない性格をしていた。「もー、まぁた雨!? もう雨はいい 〈続きを読む〉