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寂雷先生への思いを独白する独歩くん


寂雷先生は、神様なのではないかと思う時がある。
俺がどんなに些細でくだらないことを悩みとして診察室に抱え込んできても、先生は椅子に深々と座って真摯に対応してくれる。お騒がせな幼馴染が嵐のようになだれ込んできても、邪険には扱わない。自慢にはし難いが、病院を渡り歩いた俺からすれば彼は理想の主治医と言っていい。
人間とは、たった6年生まれた年が違うだけでこれほどの差が開くのか。
それとも、先生が特別なのか、俺があまりにも矮小なのか。
きっとそのどちらもなのだろう。だから俺は先生の情を正面から受け取れないのだ。

先生から俺へ注ぐ愛とは、患者へ平等に渡されるものだ。 それでも、先生の懐で育まれた偉大すぎる愛の接ぎ木は、俺の痩せた土地では育たない。
俺は、愛に飢えるには肥大しすぎていたし、愛に肥えるにはあまりにも幼かった。


今にもビルの森へ消えそうな夕日を虹彩に焼き付けながら、会社の外階段で煙草をふかす。
今日のような、どうしようもなく精神を痛めつけた日には、必ず先生のことを思い出してしまう。 会えないことはわかっているし、割り切ってもいるくせに、うじうじと僻み引きずり続けるのは俺の悪癖だ。
その癖は治る予感もないけれど、不誠実な俺が貴方と共にある口実くらいにはなるでしょうか。

ああ先生、貴方の崇高な愛を俺の心で腐らせることを どうかお赦しください。

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