ジャンル:デュラララ‼ イザシズ お題:奇妙な小説 制限時間:1時間 読者:41 人 文字数:1948字 お気に入り:0人

そうぞうのじかん



 こんな世界は嫌いです。
 人間が化け物を化け物として崇め讃え、街の機構に組み込まれるならばまだしも。人間があの化け物を人間の枠に収めたまま崇め讃えるこんな世界がどうしても許せない。嫌で嫌で仕方がない。
 美術の時間、自由課題を与えられて各々が好き勝手に創作してそれなりの評価が下されていく中で、シズちゃんが作った出来損ないの土偶みたいな何かが高く評価された。平和島君は独特の感性を持っているね、この美しい曲線と荒々しい直線が不調和の中で云々。何やら興奮して美術講師が捲くし立てていたが要は高評価ということだった。本人は至って真剣に作っていたけど、どう見たって出来損ないの土偶だ。講師がソレの何に心を揺さぶられたのかは分からないが、他の生徒も何やら好ましくソレを見ているらしかった。荒々しいけどセンスがあるだとか、どうとか。周囲は好き勝手に解釈して、本人は満更でもなさそうだが弱々しく返事をするだけだ。
 何だソレ。
 暴力装置が震える手で粘土を削って組み立てて、出来上がったのは何とも言えない気持ちの悪い物体で。訳の分からないものを作って、褒められて、嬉しそうにしちゃってさ。そもそも芸術は人間の専売特許で、化け物なんてお呼びじゃないってのに。
 どうしてそんなものを一つ作ってみせた程度で、人間の輪の中に入れたつもりになっているのだろう。
 違うのだ。ソレは、その化け物は人間なんかじゃない。無理して輪に入れなくてもいい。その化け物が押し寄せた不良集団をその辺にあるもの全て投げつけてグラウンドをめちゃくちゃにしたのはほんの一週間前だ。もう忘れてしまったのだろうか。
 その化け物に、芸術を理解する心なんてあるはずがない。化け物の作ったものに意味なんて与えなくていい。あらゆる天災をその身に詰め込んだような化け物が、ああ、どうしてこんな風に人間(俺達)の日常に溶け込んでいるのだろう。
 殺さなきゃ、壊さなきゃ、輪の中から追い出さなきゃ。
 放課後、美術室に飾られていた作品群の中から出来損ないの土偶を手に取って、そのまま手放した。土偶は重力に従って落ち、べしゃりと床に張り付いてただの粘土の塊になった。上半身の形がまだ分かる状態だったから、踏みつけようとした、その時。
「失礼しま――あ?」
「……シズちゃん」
 最悪のタイミングで化け物と遭遇した。化け物は俺の姿を見て、次に足元の塊を、そしてもう一度俺を見た。さすがにシズちゃんが美術室なんかに来るとは思っていなかった。完全に想定外だ。背筋に嫌な汗が流れる。何をどう言おうか、退路は塞がれているが窓から逃げられるか、逃げるとしてどのルートを使おうか、ローリスクハイリターンな道筋はどれだ。もちろんリスクは俺の労力で、リターンはシズちゃんへのダメージだ。人間のフリをして生きているつもりになっている化け物に、何もしないなんて選択肢はない。
「手前が、ソレを、壊したのか」
 シズちゃんが出入り口に突っ立ったまま、目線だけでソレを指し示した。言うまでもなく土偶モドキのことだ。
「ああ、そうだけど?」
 俺は完璧な笑顔と共にそう返した。まるで悪びれる様子もなく、それが当たり前かのように。さあ、鬼が出るか蛇が出るか。
 するとシズちゃんはふっと笑みを浮かべてこう言ったのだった。
「――あァ、丁度いい。俺も壊そうと思っていたんだ」
 手前に壊されるのはムカつくけどな、と続く。俺は呆気に取られてしまった。思考が一瞬だけフリーズする。この化け物は、コイツは、自分の創作物を放課後にわざわざこっそりと壊しに来るような奴だっただろうか。
「これは、これは何だったの、シズちゃん」
 出来るだけ動揺を悟られないようにしたつもりだったけど、声に悪意を籠め切れなかった。だからか、化け物は少し頭を掻いてから、少し言い訳じみた言い方をした。
「作れると……いや、直せると、思った。から。俺にも直せたら、壊すばっかだから、俺は。形を変えたり、直せたりできてたら、って思って」
 言い終わるや否や、俺は形が残っていた土偶の出来損ないを踏みつけた。何度も、何度も、念入りに。平らになって、靴の跡しか残らないくらいまで踏みつけて、ようやく収まった。
 何だソレ。神にでもなるつもりか。化け物を超えて? ふざけるのも大概にしろ。
 これは後で知ったことだが、シズちゃんはとある女性を傷つけて、それがトラウマになっているらしい。だから、女性像である土偶を作って心を慰めたのかもしれない。どっちにしろ、人間のような所作には怒りが湧くけれど。
 俺より人間らしい理由で創作して、人間の輪に入って、人間のように苦悩して作品を壊すだなんて。

 ああ、もうやってらんない。

同じジャンルの似た条件の即興二次小説


ユーザーアイコン
作者:逢坂ゆつは@静雄は頬袋にいるよ ジャンル:デュラララ‼ イザシズ お題:マイナーな手 制限時間:1時間 読者:701 人 文字数:2932字 お気に入り:0人
それを報復と名付けるにはあまりにも鏡写し過ぎた。ソレを否定すれば自分をどう表現すれば分からなくなるので折原臨也はそれをこう呼ぶしかなかった。 ”平和島静雄は折原 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:逢坂ゆつは@静雄は頬袋にいるよ ジャンル:デュラララ‼ イザシズ お題:ぐちゃぐちゃの絵描き 制限時間:1時間 読者:614 人 文字数:2600字 お気に入り:0人
それを報復と名付けるにはあまりにも鏡写し過ぎた。ソレを否定すれば自分をどう表現すれば分からなくなるので折原臨也はそれをこう呼ぶしかなかった。 ”平和島静雄は折 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:逢坂ゆつは@静雄は頬袋にいるよ ジャンル:デュラララ‼ イザシズ お題:限界を超えた不動産 制限時間:1時間 読者:608 人 文字数:8043字 お気に入り:0人
愛してくれる誰かが居るかもしれない愛してくれたなら自分は満たされるかもしれないと思っていた心の皮が無惨にもズタズタに引きはがされて顔を出したのは化け物だった。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:逢坂ゆつは@静雄は頬袋にいるよ ジャンル:デュラララ‼ イザシズ お題:地獄の血液 制限時間:1時間 読者:707 人 文字数:1836字 お気に入り:0人
俺は今森と一体化している。 静雄はそう頬を緩ませながら、ギリースーツの顔部分を被り直し川べりの茂みに伏せている。 愛用のアサルトライフルは定番のAKS-74U 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:逢坂ゆつは@静雄は頬袋にいるよ ジャンル:デュラララ‼ イザシズ お題:くだらない耳 制限時間:1時間 読者:605 人 文字数:6616字 お気に入り:0人
愛してくれる誰かが居るかもしれない愛してくれたなら自分は満たされるかもしれないと思っていた心の皮が無惨にもズタズタに引きはがされて顔を出したのは化け物だった。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:逢坂ゆつは@静雄は頬袋にいるよ ジャンル:デュラララ‼ イザシズ お題:許せない家事 制限時間:1時間 読者:599 人 文字数:2284字 お気に入り:0人
愛してくれる誰かが居るかもしれない愛してくれたなら自分は満たされるかもしれないと思っていた心の皮が無惨にもズタズタに引きはがされて顔を出したのは化け物だった。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:逢坂ゆつは@静雄は頬袋にいるよ ジャンル:デュラララ‼ イザシズ お題:静かな栄光 制限時間:1時間 読者:513 人 文字数:1966字 お気に入り:0人
羽毛布団の中で静雄は眠っていた。大柄な自分に合わせて、海外製のダブルの羽毛布団を幽がくれたのだ。 タイだと、こういうのは安いんだとはにかんだ弟にありがたく受け 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:逢坂ゆつは@静雄は頬袋にいるよ ジャンル:デュラララ‼ イザシズ お題:冬の男 制限時間:1時間 読者:673 人 文字数:949字 お気に入り:0人
羽毛布団の中で静雄は眠っていた。大柄な自分に合わせて、海外製のダブルの羽毛布団を幽くれたのだ。 タイだと、こういうのは安いんだとはにかんだ弟にありがたく受け取 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:逢坂ゆつは@静雄は頬袋にいるよ ジャンル:デュラララ‼ イザシズ お題:賢い傑作 制限時間:2時間 読者:718 人 文字数:3027字 お気に入り:0人
人間は想像以上の事は出来ない。事実は小説より奇なり。 矛盾に聞こえるこの言葉は、矛盾をはらみながらも両立するのだとシズちゃんは示している。 シズちゃんは相手に 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:逢坂ゆつは@静雄は頬袋にいるよ ジャンル:デュラララ‼ イザシズ お題:ラストは小雨 制限時間:2時間 読者:808 人 文字数:1881字 お気に入り:0人
最初に空を飛んだのはシズちゃんだった。笑ってしまったからよく覚えている。俺がパルクールを身に付けかけている時だ。 薄い春の青空に溶けそうな裾の色と広がる薄い黄 〈続きを読む〉

あんでっどたしろぎの即興 二次小説


ユーザーアイコン
作者:あんでっどたしろぎ ジャンル:デュラララ‼ イザシズ お題:奇妙な小説 制限時間:1時間 読者:41 人 文字数:1948字 お気に入り:0人
こんな世界は嫌いです。 人間が化け物を化け物として崇め讃え、街の機構に組み込まれるならばまだしも。人間があの化け物を人間の枠に収めたまま崇め讃えるこんな世界が 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:あんでっどたしろぎ ジャンル:ハイキュー!! 黒大 お題:遠い罪 制限時間:1時間 読者:231 人 文字数:2098字 お気に入り:0人
架空のお祭りの話を黒大で。 大学在学中にどこかに旅行しようと提案したのが黒尾。だったら避暑として都内を離れようと提案したのが俺。 宮城に帰るのは旅行とは言わない 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:あんでっどたしろぎ ジャンル:ハイキュー!! 黒大 お題:絶望的な誤解 制限時間:2時間 読者:304 人 文字数:3252字 お気に入り:0人
道行くカップル、買い物をする夫婦。 あちこちに広がっている幸せの笑み。 甘い香りをさせた少年が横を通り過ぎてゆく。 さあ誰か。 俺に「運命」を教えてくれ。 今 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:あんでっどたしろぎ ジャンル:ハイキュー!! 黒大 お題:見知らぬ克服 制限時間:30分 読者:312 人 文字数:1407字 お気に入り:0人
素敵な死体に出会いたい。 例えば水揚げされたての体。良い。ひんやりしていて抱き締めたくなる。 例えば首吊り後の体。良い。たるみ切った全てを私は受け入れたい。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:あんでっどたしろぎ ジャンル:デュラララ‼ イザシズ お題:当たり前の昼 制限時間:30分 読者:362 人 文字数:972字 お気に入り:0人
信仰の形ってのは掃いて捨てる程にある。 例えば自然、例えば道具、例えば建物、例えば死人。教え導く神や仏もあれば、罰を与える鬼もいる。 この辺の集落の人間は岩に 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
R-18,砂糖菓子 ※未完
作者:あんでっどたしろぎ ジャンル:ハイキュー!! 黒大 お題:くだらない裏切り 制限時間:1時間 読者:474 人 文字数:2561字 お気に入り:0人
だって、それが当たり前だと思っていたのだ。「……は、あ……、っん……」 容赦なく抉ってくるソレに身を捩って逃げようとするが、ぐいと腕を引っ張られてまた元の位置 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
よみがえり ※未完
作者:あんでっどたしろぎ ジャンル:ハイキュー!!【腐】 黒大 お題:白い夜風 制限時間:30分 読者:296 人 文字数:1288字 お気に入り:0人
ざあっと生ぬるい風が吹いていく。遠くから太鼓と音頭がする。「どっかで盆踊りしてますネ」「そうですね。行ってみたいのか?」「いやあ、まあ、これを着たからにはねえ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:あんでっどたしろぎ ジャンル:ハイキュー!! 黒大 お題:苦し紛れの始まり 制限時間:2時間 読者:360 人 文字数:3765字 お気に入り:0人
リンゴーン、建物中に広がる大きな鐘の音で一息。ペンを置きぐっと背伸びをすると体中がバキボキと音を立てた。食堂に近付くにつれ強くなるカレーの匂いが食欲をそそる。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:あんでっどたしろぎ ジャンル:ハイキュー!! 黒大 お題:腐った大雪 制限時間:2時間 読者:465 人 文字数:3978字 お気に入り:0人
三千世界の烏は鳴いたか「朝を告げるは烏にあらず、夜を告げるは鶏にあらず」 腹回りの肉を地面に乗せてでっぷりとした黒猫が寝っころがって頬杖を突き空を見て嗤う。「 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:あんでっどたしろぎ ジャンル:デュラララ‼ イザシズ お題:宗教上の理由で小説修行 必須要素:どんでん返し 制限時間:1時間 読者:482 人 文字数:972字 お気に入り:0人
薬指が何処かへ消えた。 朝起きて、気づいたら無くなってた。左の薬指だ。第二関節より付け根っ側の微妙な所できっぱりと。 寝惚けてんのかもしれないと顔を洗おうとし 〈続きを読む〉