ジャンル:Fate/Grand Order お題:破天荒な国 必須要素:セリフ無し 制限時間:30分 読者:232 人 文字数:1052字 お気に入り:0人

ワルキューレ現パロ

 じわじわと、窓の外から聞こえる蝉の鳴き声に目を覚ます。
寝汗でじとりと湿った布団の独特の感触に眉を顰め、
私は――ワルキューレ。個体名はスルーズ――おもむろに身を起こした。

 寝起きのぼんやりとしたまなこで時計を見れば、長針と短針が頂点で重なっていた。
もうこんな時間か、と肩を竦め、迷わずエアコンのリモコンに手を伸ばす。
ぴ、ぴ、ぴと温度設定のボタンを連打して、快適な環境を作り出す。
今年の夏は暑すぎる、と内心ぼやき、それから小さなちゃぶ台に残されたメモ書きに目を通した。

丸っこい、ヒルドの書き文字。
オルトリンデと二人でアルバイトに出ている、とのことだった。

大神の使いたるワルキューレがアルバイト。
その組み合わせに違和感を覚え、それからすぐに『妹たちにバイトに行かせて自分一人クーラーの効いた部屋で涼んでいるワルキューレ』という、自分のおかれた状況の方がよっぽどワルキューレらしくないことに気づき、苦笑した。

――勇士たる者が殆ど居ない、この現代に受肉してどれだけの月日が経ったのか。
ブリュンヒルデお姉様と、ヒルドと、オルトリンデと。
揃って受肉した当初は、勝手の違う現代に目を白黒させていたものだが。

 今ではすっかりこれだもんねぇ。

昨晩のちょっとした酒会での、ヒルドの言葉を思い出す。

勇士を探し、ヴァルハラへ導く装置だったはずの私たちも、
今ではすっかり現代に――この破天荒な国に馴染んでしまっていて。
ブリュンヒルデお姉様も、ヒルドも、オルトリンデも、各々が現代を謳歌していて。

 安物の冷蔵庫を開き、昨晩の残りの缶ビールを取り出した。
慣れた手つきでカシュ、と栓を開け、中身を喉に流し込む。

 聞けばブリュンヒルデお姉様は、この現代であの男と再会し、
今ではすっかり仲睦まじい関係を気づいているのだとか。
二人の妹たちも、アルバイト先で他の人間たちとそれなりに良好な関係を気づいているらしい。

 正直なところ、その変化が恐ろしかった。
感情の無い装置であったはずのワルキューレが、そんな、まるで人間のようになるなんて。
そんな感情に支配されるようになることが、ただただ怖かった。

 缶ビールは一瞬で空になる。
冷蔵庫にもうビールが残っていないことに気づき、小さく溜息を吐く。

 そして、そんな行為があまりにも人間臭い振る舞いであることに気づき、
私はもう一度、今度はこれみよがしに溜息を吐いた。

 窓ぎわに止まっていた蝉がじじ、と嘲笑して飛び去った。

同じジャンルの似た条件の即興二次小説


ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:Fate/Grand Order お題:調和した彼 制限時間:30分 読者:99 人 文字数:1649字 お気に入り:0人
夕食を食べ終えた子どもらは、今日のお手伝いのご褒美にもらったホットココアの温かなマグを抱えて、そろりそろりと談話室へ向かった。ジャックやナーサリーの目当ては絵 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:Fate/Grand Order お題:僕の好きな消しゴム 制限時間:30分 読者:137 人 文字数:1515字 お気に入り:0人
王子!と呼び止める者のあるのを、分かっていて、聞こえていてヘクトールは走った。急いでいたからだった。手には熟れた実を一つ握りしめている。呼ぼうとして名前をうま 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:Fate/Grand Order お題:どうあがいても夏休み 制限時間:30分 読者:136 人 文字数:1349字 お気に入り:0人
振り返った容貌は不思議に微笑んでいる。アルカイックスマイルというそれがあの男の頬に飾られていることがまた苛立ちを呼んで、手の中で石がじゃりじゃりと触れ合った。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:愁花 ジャンル:Fate/Grand Order お題:複雑な能力者 必須要素:ご飯 制限時間:30分 読者:117 人 文字数:1329字 お気に入り:0人
「サリ「サリエリ」「アマデウスアマデウスアマデウスゥゥゥ……!」「サ・リ・エ・リ!!」「……マスター」 召喚以降姿を見せない彼を探しに来てみれば、シャドウ・ボー 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:工藤 ジャンル:Fate/Grand Order お題:ゆるふわな動機 制限時間:30分 読者:182 人 文字数:856字 お気に入り:1人
ベディヴィエールに避けられている。ガウェインは壁にもたれかかりながら腕を組んだ。 ガウェインとベディヴィエールは恋仲である。そして、昨日は彼と、はじめて体を結 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:Fate/Grand Order お題:騙されたぷにぷに 制限時間:30分 読者:181 人 文字数:1500字 お気に入り:0人
子を失った悲しみに泣き暮らす横顔にさえ見惚れた、これは罰だ。 妻の作ってくれた巾着袋は、彼女の美しさをなぞったような美しい縫い目を並べて早数年が経とうとしてい 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:Fate/Grand Order お題:経験のない娘 制限時間:30分 読者:216 人 文字数:1181字 お気に入り:0人
夜は優しい生き物のようにぴったりと俺たちに寄り添っていた。街灯に照らされた犬の毛並がつやつやと輝いて、視線に気付いた顔が見上げて嬉しそうな顔をする。よく躾けら 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:うみねこ。 ジャンル:Fate/Grand Order お題:彼女と仕事 必須要素:ポテトチップス 制限時間:30分 読者:241 人 文字数:1728字 お気に入り:0人
珍しいものが手に入った。ダ・ヴィンチちゃんからの連絡を受けて向かい、それを見て驚きのあまり声が出なかった。 先輩が食べたい食べたいと言っていたあれなのでは? 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
似顔絵 ※未完
作者:桜鬼@猫注意報(・ω・) ジャンル:Fate/Grand Order お題:調和した絵画 制限時間:30分 読者:218 人 文字数:761字 お気に入り:0人
「何してるの?」 おやつの時間になると、ある一定の女性陣が集まる食堂が、何故か何時もよりも騒がしい。集めた資材を片付けるべく近くを通った少女は、素朴な興味で入口 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ギギ ジャンル:Fate/Grand Order お題:自分の中の黒板 制限時間:30分 読者:220 人 文字数:849字 お気に入り:0人
俺なんてただの数合わせのためにたまたま選ばれた一般人だから、きっとすぐになんでもない日常に戻っていくのだろう。そう思いながら、俺は自分の中の黒板の前でチョークを 〈続きを読む〉

雨七の即興 二次小説


ユーザーアイコン
作者:雨七 ジャンル:ALTEREGO お題:穏やかなネット 必須要素:おっぱい 制限時間:30分 読者:64 人 文字数:845字 お気に入り:0人
「そうね。貴女には本当に感謝しているの」整った顔。その表情をぴくりとも動かさず、ぽつりと呟いた。「空っぽのがらんどうだった私に『私』を教えてくれたのは。間違いな 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨七 ジャンル:咲-Saki- お題:めっちゃ木 必須要素:甘栗 制限時間:30分 読者:107 人 文字数:1338字 お気に入り:0人
「めっちゃ木が生えてますよー!」「栗の木。ただの木なら神境にも生えてる…」「はるるはこまかいですねー」 きゃっきゃと巫女服の少女たちがはしゃいでいた。一人は滝見 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨七 ジャンル:咲-Saki- お題:大人の魚 必須要素: 制限時間:30分 読者:141 人 文字数:1312字 お気に入り:0人
「あっれー。小鍛治プロ、奇遇ですねぃ」 げ、という声が口を衝いて飛び出した。ぱたぱたと着物を揺らし、小柄な少女が駆け寄ってくる。「……どうも、三尋木プロ」「どう 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨七 ジャンル:魔法少女育成計画 お題:黄色い関係 必須要素:ボールペン 制限時間:30分 読者:110 人 文字数:688字 お気に入り:0人
☆スタイラー美々 スケジュール帳の上でペンを走らせる。やれ「15時にA市、魔法少女2人、ヘアスタイル」とか「18時にB市、魔法少女1人、内密に」とか、そういった 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨七 ジャンル:Fate/Grand Order お題:破天荒な国 必須要素:セリフ無し 制限時間:30分 読者:232 人 文字数:1052字 お気に入り:0人
じわじわと、窓の外から聞こえる蝉の鳴き声に目を覚ます。寝汗でじとりと湿った布団の独特の感触に眉を顰め、私は――ワルキューレ。個体名はスルーズ――おもむろに身を 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨七 ジャンル:咲-Saki- お題:興奮した処刑人 必須要素:じゃがいも 制限時間:30分 読者:566 人 文字数:1252字 お気に入り:0人
「それで、なるか?」 ちかちゃんが私の名前を呼びました。私はおそるおそる、目線を上げてちかちゃんの顔色を伺います。目元。にっこり。口元。弧を描いています。一見、 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨七 ジャンル:咲-Saki- お題:ゆるふわ愛されおっさん 必須要素:干支 制限時間:2時間 読者:339 人 文字数:2355字 お気に入り:0人
「純くんさぁ」 その言葉を発した国広一自身も驚くほどに、「あきれた」感が強い声色だった。「何だよ」と振り向く井上純を、まじまじと彼女は観察する。 まず、体勢。使 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨七 ジャンル:咲-Saki- お題:暴かれた会話 必須要素:会話劇 制限時間:4時間 読者:375 人 文字数:4308字 お気に入り:0人
「霞さんの様子を、ですか?」「はい。巴ちゃんに久しぶりに見てきてほしくって」 にこにこと、屈託のない笑顔で姫様が言いました。学生時代から何ら変わらない、無垢な笑 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨七 ジャンル:咲-Saki- お題:朝の汁 必須要素:くさや 制限時間:15分 読者:379 人 文字数:771字 お気に入り:0人
爽やかな朝だった。窓からは柔らかな朝日が差し込み、白い布団がふわりと全身を心地よく包んでいて。けれど、そんな朝を迎えたエイスリンの第一声は、「クサイ!!」 悲 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨七 ジャンル:咲-Saki- お題:女のカリスマ 必須要素:靴の中敷 制限時間:30分 読者:382 人 文字数:1216字 お気に入り:0人
「というわけで! テルーとスミレが卒業しちゃったわけだけど!」「そうだなぁ」「……むー。亦野先輩、他人事ー? 次期部長がそんなんでいいの?」、 と、言われても。 〈続きを読む〉