ジャンル:魔法少女育成計画 お題:刹那の故郷 必須要素:変なにおい 制限時間:30分 読者:50 人 文字数:1611字 お気に入り:0人

魔梨華の頭で取れた野菜の漬物を食べる美々

☆スタイラー美々

魔法少女はモチーフによって目には見えない部分で他者と差が出ることがある。
単純な運動能力だけの話ではない。五感や、直感、そういった部分もだ。
例として上げるならば、森の音楽家クラムベリーが音を聞き分ける能力に優れているのがというのがわかりやすいだろう。
他より視力に優れた魔法少女、逆に一定条件下で視力が悪くなる魔法少女。鼻がよくきく魔法少女、逆に匂いが判別できない魔法少女。
音が聞こえない魔法少女も居るだろうし、変わり種なら音を色で感じる魔法少女なんかも居るだろう。

長々語って、結論を言うと、ひょっとするとだが美々自身半信半疑だが美々にもそういう「モチーフによる優劣」が見られるのかも知れない。
と、いうのも、人間の時よりも、自身が香水の香りの嗅ぎ分けが上手くなっていると感じるからだ。
意識を集中せずともわかるし、混合してもちゃんと嗅ぎ分けることが出来る。
そんな美々の鼻がまず感じ、自然に目が鼻の感覚を追った。
そして、出処のわからぬまま視線を動かし、わけも分からぬ状況の中で、ただ、事実を確認するように口にした。

「……おばあちゃんの家みたいな匂いがする」

刹那浮かんだ故郷の祖母は、縁側でうちわを仰ぎ手を振っていた。
なぜそんな匂いがするのか、これがわからない。
美々の家でもアロマを焚くことはあるが、こんなノスタルジックな香りを使うことはない。
とはいえ、夏の近づいてきた日頃だ。近所の人間が蚊取り線香でも焚いているのかもしれない。
近所の人間。
おかしな話だ。
近所の人間は美々が住み始めてから全員何も言わずにこの建物から出ていっている。(美々が追い出されていないのだから、美々がほぼ毎日トンチキ魔法少女の襲撃を受けているせいではないと信じたい。)
じゃあ一体どうしてと考える前に、匂いは一段と濃くなり、その濃さに重なるように来客を告げるチャイムが鳴った。

嫌な予感がする。
語るまでもなく、件のトンチキ魔法少女が表で待ち構えている。そんな予感が。
居留守を決め込もうかと思ったが、ノブを回す回数の多さと回数を重ねるに連れ込められていく力の強さに血の気が引いてその案は跳ね除けた。さすがに、窓だけでなくドアもイワしましたじゃあ大家の顔色を伺うことすらできない。
不承不承ながら家内から声をあげると、ノブ回しはすぐに収まった。せめて他人であってくれと願いながら開けたドアの先には、見飽きることにも飽きてきた、夏の太陽よりも黄色い笑顔の魔法少女・袋井魔梨華が、頭に見たことない花を咲かせ、小脇に壺を抱えて立っていた。
嫌な予感はあたるというべきか。壺の方から、おばあちゃんの家の匂いがしている。

「……今日はなんですか」
「漬けてみた」
「は?」
「だから、新しい種を飲んだら実が頭になってさ。いつもいつもそのままどうぞじゃ味気ないでしょ? だから、漬けてみた」

曰く、ぬか漬けだそうだ。
頭痛がした。まず、頭の上になった成分不明の果物だか野菜だかを他人に食わせるというのがおかしいし、それを「味気ないから」で漬物にするのも意味がわからない。
なんと言って断るべきか考えていると、袋井魔梨華はしばし美々を見つめ、得心したという顔でこう続けた。

「大丈夫。おにぎりもあるから!」

ため息を一つ。魔梨華の中ではもうそれだけで「食べてもらう準備」は完璧なのだろう。
とりあえず、一通り毒味をさせ、なにかおかしな様子だったら魔梨華を放り捨ててやろうと誓い、美々はとりあえず、来客用の茶(安物で十分だ)を用意するのだった。



ちなみに。
漬物は食べても何事もなく、しかも意外と美味しかった。少し悔しかった。
美々の家はしばらくおばあちゃんの家みたいな匂いが取れず、しばらく夢におばあちゃんが出続けることになった。呆れてしまうが、でも、少しだけ、素敵な夢だったかもしれない。

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