ジャンル:ポケットモンスターBW お題:犯人はヒーロー 制限時間:30分 読者:59 人 文字数:937字 お気に入り:0人

【ゲー主♀】2月15日

市販のチョコレート。買ったままの状態であからさまな追加包装も何もしていないただの板チョコ。
「あげる」
手作り感から程遠い特別でも何でもないお店によく置いてある板チョコを何でもない普通の日に半ば押し付けるかたちで渡した。
つっけんどんな態度と言い方に相手の顔が分かりやすく顰められた。それでもごくごくありふれた子供のおやつ染みたそれを受け取ってくれた。板チョコを受け取り無言のまま手に持った板チョコを見下ろす視線は熱を感じない。今の季節みたいに冷たく、それでいてあまりにもつまらないからうら寂しく感じる。
視線に気付いたのか欠けた目がちらりこっちを見た。
「……受け取っておきましょう」
不承不承。何か文句がおありなら言えばいいのに言わない。いらないなら捨てるなり突き返すなりすればいいのにやらない。
でも、貰ってくれるならそれでいい構わない。
これ以上留まったところで良い事なんか何一つない。下手すれば取り繕った綻びがあれよあれよと解け広がり大きくなってしまう。長居は無用。早々にその場から逃げ出そうとすればあからさまなため息が後ろから聞こえる。
それがとても腹が立った今の行為を全て見透かされているような気がしてとても腹が立った。特別な日の次の日は普通の日。その日じゃないとチョコを渡せないなんて自分自身腹が立ち悲しかった。
走って走って姿が見えなくなるまで走った。この気持ち悪い何かが胸の中を埋め尽くし吐き気に似た衝動を抑えつけながら走り続けた。












「面白くありませんねえ」
ありきたりな市販の菓子。しかも渡す日をあえてズラすなどと全くもって面白くない。
何時まで感情の裏側に閉じこもっているつもりか。必死になって目を反らす様は愛らしささえ感じますがあまり意地を張らないで頂きたい。
「素直になれば楽になれますよ。──貴女も私も」
はやくはやく此方側へ堕ちてきなさい。中途半端に堕ちる貴女ではいとも容易く腕の中から逃げ出してしまう。しっかり繋ぎ捉え閉じ込め続けるには同じところまで堕ちるしか術はない。底の底まで落ちて堕ちて這い上がることさえしなくなった瞬間、漸く貴女を手中に収め共に人生を歩めるというもの。
さあはやくはやく堕ちてきなさいトウコ。

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