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元殺し屋



部屋の隅、膝を抱えて座り込んだ。不採用の通知は破り捨てた。社会不適合者の自分が憎かった。

「ただいま、ソーニャちゃん」

スーツ姿の女の人は、今日もこのアパートに帰ってきた。私を養ってくれる人。私を愛してくれる人。名前も知らない不思議な人。

私はソーニャ、子供の頃から殺し屋をしていたのはぼんやりと覚えてる。いつだか覚えていないけど、私はその仕事を辞めた。それから、この女の人に養ってもらうのが申し訳なくて、仕事を探している。この人はいつも私を抱き締めて『何もしなくていいんだよ、そばに居てくれれば』って言うけど。そうやって慰めてもらう度、自分の情けなさが辛かった。

「今ご飯作るからね」

座ったままうとうとしかけていると、美味しい匂いがし始めた。腰を上げると、にっこり笑った女の人が晩ご飯を出してくれる。

多分、私はこうやってずっと、この人と一緒にいるんだろうな。


数年前、殺し屋は愛を知った。そして、己を知った。弱さ、異常さ、孤独さを思い知らされた。刃を失った殺し屋は、日に日に弱った。そして記憶を失った殺し屋を、少女は抱き締めた。穏やかな微笑みと共に。

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