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【プチ徐】人魚姫パロ3

その時、燦々と降り注ぐ太陽を反射させ扇状に広がる海水を頭からかぶった。
「あんまり人魚を見くびってほしくないものね」
頭からずぶ濡れになった元凶がおちょくるように空を揺蕩う。横たわっていた体を起こし此方を見据える瞳には強い意志が消えぬ灯火となって宿り続けている。
「あんたの船は何で沈んだと思う?昨晩は嵐が来るような天気じゃなかった、なのに船は沈んだ。それは私達が遊び半分で沈ませたからよ」
嗜虐的で剣呑とした視線を投げかけ人魚は話を続ける。
「野蛮なことだなんて思わないでね。あんた達だって私達を殺して食べてるじゃない」
「それと一緒だと?」
わざとらしく苦々しい顔をすれば人魚が蠱惑的に笑う。
「でも、腑に落ちない。なら何故私を助けた」
「ただの気まぐれ。深い意味なんてこれぽっちもない」
先程の威圧感はとっくに消え失せ、再び波打ち際に寝そべった。折りたたんだ腕に頭を乗せ此方を見上げる顔つきはどこかあどけない少女にも見える。しばし魅入ってしまったがそれでも人魚は軽く尾びれを海面にパシャパシャ打ち付け逃げる素振りもこの場を立ち去る気配もない。
やおら重たい腰を持ち上げる。人魚の顔が上向きに動く。
「一先ず何処かに避難させてもらおう。近くに町があればいいが…」
「それならこの後ろに広がる森を突き抜けるといいわ」
「人魚の言うことを信用しろと?」
「信じるも信じないもあんたの勝手。好きにすればいいじゃない」
鼻で笑い、一応人魚が言っていた通り森を抜けようと足を向け、立ち止まった。首だけ軽く後ろを振り返り問う。
「またここに来れば会えるか」
「さてね」
この言葉を最後に海から大きな飛沫と飛び込む音が聞こえた。恐らく海に帰ったのだろう。
海鳥たちの鳴き声が鮮明になる。さざ波が鼓膜を通り過ぎ脳内で響く。ふと、眼前に手のひらを持ってきて見下ろした。手に残る感触は今も鮮明に覚えており思い返すごとに先程まで会話していた相手の言葉が浮かび沈んでいく。
一定の距離を保ち決して近付こうとしない。油断していると見せかけて全く隙のない人魚の態度に何から背中から這い上がってくるような感覚に陥った。暗く深い黒い海に沈む感覚と似たそれは言葉では言い表しがたいものだった。

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