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電子の海に揺蕩う3







その眼差しは心配とともに確かな怒りを孕んでいた。

「鶯丸……怒ってる?」
「怒ってはいない」
「え、怒ってるよね?」
「怒ってはいないが……そうだ、命は大事にしろ」

取ってつけたようにいつもの台詞を言う。

「なんで分かったのかなー」
「もう忘れたのか、主。やっぱり馬鹿なのかもしれないな。忘れっぽさが大包平並だ」
「むう。そんな馬鹿正直じゃないぞ」

鶯丸は目を開き驚いた表情をしている。なんだなんだ。何がそんなに驚きなんだ。

「主は……いや今はいいか」
「なんだってばよー」
「そう、今は、今は梅の景趣だろう?紅梅に鶯だ。つまりこの景趣のときの俺に分からないことはない。昼にも伝えたはずだが?」

何が伝えた、だ。馬鹿なやり取りに忘れられたのか腕の震えはなくなった。

「(こっちの気持ちなんて何にも知らないくせにどの口が)ってか近い!」
「また主が落ちては困るからな」
「いやまだ落ちてないし」
「せっかくの美しい顔が変な顔しているぞ」
「鶯丸なのに世辞だけが上手くなっていく」
「俺にそんな器用なことが出来ていたとは初耳だ」
「あほ!ばか!景趣なんて明日になったら変えてやる!!」
「楽しみだな。次は桜か」



「大包平様、主様はあれで表に出してないつもりなのですよ」
「どこかの鶴丸じゃないが、驚きだな。主の想いが通じだからこそあいつもあそこまで軟弱化したというのにな」
「ええ。鶯丸様の表情は本当に柔らかくなりました。もちろん主様も。鶯丸をちらと見て微笑むお顔は本当に柔らかく春がほころぶようなんです」
「平野。そこは花がほころぶ、じゃないのか?」
「ふふ、大包平様。これで良いのです。主様ならこうおっしゃいますから」

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