ジャンル:囚われのパルマR お題:裏切りの諦め 制限時間:30分 読者:36 人 文字数:1401字 お気に入り:0人

裏切るって難しい ※未完

「さて、どうしよう……」

 現在、夕方の六時半。
 わたしは会社の目の前にある喫茶店の奥の席で、観葉植物の陰に隠れながらこの後の予定を考えている。
 平日だから、そんなに遠くには行きたくない……というか、定時に帰れる非正規社員の特権として真っ直ぐ家に帰って寝たい。
 けど……今日は少し寄り道をして帰るって決めたのだ。家と会社の往復しかしない優等生は卒業なのだ。

「今日はわたし、チアキくんの期待を裏切る、悪い女なのだから。うん」

 呟いて、決意を新たにとりあえず、バレたら『晩ご飯が入らないだろう』と怒られそうなボリュームのパフェを頼んでから……。
 そうだ、こういう時くらい、お洒落なイタリアンレストランでワイン片手に晩酌でもするべきだったじゃんと気づく。
 ……こういう所が、お子ちゃまっぽくてチアキくんを心配させるのだ。多分。

 今日は悪い子になる、とそう決めたきっかけは、本当に大した事じゃない。
 最近、英語が堪能なチアキくんに、学生の頃に授業で使ったオスカー・ワイルドのペパーバックの内容を毎日少しずつ読み聞かせて貰ってて。
 そのお話の中の一つ。
 「若い愛人の気を引く為に、無駄に外泊したり、人との約束を作ったりして、ミステリアスな淑女の振りをする未亡人」の話を丁度、昨日読み終わったのだ。

 それで、最後の一節の原文と対訳を読み上げたチアキくんが言ったのだ。

「こんな簡単な秘密も見抜けないなんて、所詮はその程度の好奇心っていう事なんだろうな」
 って。

 それ自体はわたしも納得したし、以前、この授業を受け持っていた先生も殆ど同じ事を言っていた。
 最初はそのミステリアスさから『黒い毛皮のモナリザ』なんて言われていた未亡人も。
 秘密という毛皮を剥ぎ取られて死亡した未亡人は、あんなに自分に熱を上げていた若い愛人に哀れんでも貰えない。
 ただ、新聞の端に載った死亡記事で存在を知られて、「なーんだ」で片付けられてしまうんだと。

 だから、それ自体には傷付いてはいない。
 寧ろ、わたしの肩に顎を乗せて、背中からのし掛かるように抱きつきながら、目を伏せてじっとテキストを覗き込むその横顔と、長いまつげの陰に気を取られてそれどころじゃなかったから。

 ただ、傷ついたというか……頭に来たのはその後だ。

「でも、こんな可愛らしい秘密でも……本当に好きなら許せないだろうな。その点、君は何の隠し事もないから安心だな。いつも真っ直ぐ帰って来るし」

 多分、褒められたんだと思う。
 けど、その一言が何だか『カチン』と来たのだ。
 だから、ちょっとツンとして言ってしまった。

「わたしだって、たまには寄り道したりするもん。……もしかしたら、チアキくんの知らない男の人と会ってるかも知れないよ?」
「……へー? 定時から二時間以内には必ず帰って来る君が? いつどの時間に逢い引きなんて出来るんだ?」

 声のトーンを落としたチアキくんに驚くも、その言い方に、もっとムッと来たわたしは、おもむろに立ち上がって。
 急に立ち上がったわたしに頭突きを喰らわされて蹲るチアキくんを指差して言ったのだ。

「なら! チアキくんが私の秘密を暴けるかどうか見てやろうじゃない! わたし、明日はまっすぐ帰らないんだからっ!!」

 ……って。

けど実際は、飲みに誘う友達もいなけれは

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