ジャンル:刀剣乱舞 刀さに 女審神者 お題:俺の冒険 制限時間:30分 読者:12 人 文字数:659字 お気に入り:0人

貴女と船旅

陸奥守吉行は夢を見た。ちゃぷちゃぷと足元を水が浸している。というより、自分はその水の上に浮いている。時折やってくるさざ波に揺られてその水の上を進んでいた。空には燦々と輝く太陽と白い雲、磨きたての青空が無限に広がっている。空を縦横無尽に駆け回るかもめの声を聞きながら彼は自分がどうも船になっているということを把握した。船の中には人々の笑い声。今自分はこの人たちを運んでいるのだという実感と大好きな海をこんな風に航海しているのが楽しくて思わず笑みをこぼす。…といっても今は船なのでその喜びの感情は甲高い汽笛となって海に響いた。
「なんだか嬉しそうね」
はっとなった陸奥守はその声のした方に意識を向けた。船のデッキの先端には審神者が立っていた。手すりを優しく撫でるてつきにまるで頭を撫でられているような気持ちになって照れくさそうに笑う陸奥守。笑い声のように汽笛がまた鳴った。
『おまさんとこがな形で海に出られるのも、おんなじ景色を眺められるのもわしは嬉しいぜよ』
船だからこんなことを言っても彼女には聞こえない。そうたかをくくっていた。審神者は手すりに頰を寄せる。その温もりが陸奥守の心に優しく染み渡る。そうして言った。
「私はあなたが嬉しそうで何より、かな」
波が船体に打ちよせる音が妙に大きく響いたような気がした。エンジンが早鐘のように鳴動しているのを感じながら、陸奥守はしばし呆然としていた。鋭く鳴いたかもめの声に我に返ると彼は笑った。
「主には敵わんなぁ…」
一つ二つと汽笛が空に響いて、尾を引くように消えていった。

同じジャンルの似た条件の即興二次小説


見つかりませんでした。

ベル@原稿2/19の即興 二次小説


ユーザーアイコン
作者:ベル@原稿2/19 ジャンル:刀剣乱舞 刀さに 女審神者 お題:反逆の味 制限時間:30分 読者:26 人 文字数:909字 お気に入り:0人
秋の気配もだいぶ深くなった夜に、私は離れの部屋で読書をしていました。しばらく書類仕事が忙しく、夜も時間が取れなかったので積読状態の本にようやく手をつけたのでした 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
無銘の墓 ※未完
作者:ベル@原稿2/19 ジャンル:刀剣乱舞 刀さに 女審神者 お題:出来損ないの弔い 制限時間:30分 読者:10 人 文字数:727字 お気に入り:0人
じりじりと日差しが照っている。庭の土はからからに乾いてしまって、普段はわずかに湿った土色をしているのが今は今にもひび割れそうな肌色に変色していた。まさに干ばつの 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
ここで一句 ※未完
作者:ベル@原稿2/19 ジャンル:刀剣乱舞 刀さに 女審神者 お題:今日のゲストは駄洒落 制限時間:30分 読者:10 人 文字数:917字 お気に入り:0人
某本丸の夜、賑やかな談笑の声が灯りとともに庭に漏れた。今宵は十五夜で縁側には山と積まれた月見団子と芒が供えられていた。夜空に浮かぶ月は大層丸く、慎ましやかに庭を 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ベル@原稿2/19 ジャンル:刀剣乱舞 刀さに 女審神者 お題:俺の冒険 制限時間:30分 読者:12 人 文字数:659字 お気に入り:0人
陸奥守吉行は夢を見た。ちゃぷちゃぷと足元を水が浸している。というより、自分はその水の上に浮いている。時折やってくるさざ波に揺られてその水の上を進んでいた。空には 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ベル@原稿2/19 ジャンル:刀剣乱舞 刀さに 女審神者 お題:阿修羅任務 制限時間:30分 読者:10 人 文字数:768字 お気に入り:0人
剣戟の音が響くここは合戦場である。陸奥守吉行はあちらこちらから飛んでくる剣閃をかわしつつ、応戦する。彼は決して練度が低いわけではない。この本丸においては初期刀な 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ベル@原稿2/19 ジャンル:刀剣乱舞 刀さに 女審神者 お題:すごい家事 制限時間:30分 読者:13 人 文字数:740字 お気に入り:0人
これはある本丸ができたばかりの頃の話である。「のう、主」厨でなにがしかを手伝おうかと立っている陸奥守はお呼びがかからないのに業を煮やして声を上げた。ここは某本丸 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ベル@原稿2/19 ジャンル:刀剣乱舞 刀さに 女審神者 お題:イギリス式の惑星 制限時間:30分 読者:8 人 文字数:676字 お気に入り:0人
昼時を過ぎてちょうどおやつどきになった頃、陸奥守吉行と審神者は茶をしばいていた。しばく、という言葉は彼らのいるこの場には似合わないかもしれない。というのも、彼ら 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ベル@原稿2/19 ジャンル:刀剣乱舞 刀さに 女審神者 お題:冬のアパート 制限時間:30分 読者:8 人 文字数:717字 お気に入り:0人
窓を開けると空っ風が陸奥守吉行の頰をなぶった。あまりの冷たさに一瞬で寒さが全身に伝播して彼は思わず腕を抱えた。窓の向こうの景色には本丸とは違った、しかしのどかな 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ベル@原稿2/19 ジャンル:刀剣乱舞 刀さに 女審神者 お題:フハハハハ!それはドア 制限時間:30分 読者:10 人 文字数:757字 お気に入り:0人
そこにあったのはドアでした。普段離れで暮らす私は時々刀剣男士たちのご飯を作りに母屋に出向くのですが、その帰りにその奇怪なドアを見つけたのでした。なにが奇怪だった 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ベル@原稿2/19 ジャンル:刀剣乱舞 刀さに 女審神者 お題:栄光のテロリスト 制限時間:30分 読者:12 人 文字数:678字 お気に入り:0人
はるか昔の話である。人通りの少ない街道には田畑しかなく、満点の星空の下月明かりが穏やかに降り注いでいる。そんな清らかな静けさに満たされた夜にあって街道には慌ただ 〈続きを読む〉