ジャンル:ゼルダの伝説 お題:女同士の絶望 制限時間:1時間 読者:972 人 文字数:2118字 お気に入り:0人

貶すことなど許さぬ

ゼルダの伝説 風のタクト(風味)
捏造成分過多
ちょっと腐っているかもしれません そんな老いぼれ魔王と小さな勇者







この世界の時間軸・空間軸のでぼくは勇者をやめたんだ。



カモメが気持ち良く泳ぐ空の海。見上げていた視線を下ろせば誰かの帽子だろうか。麦わら帽がぷかぷか水の海に浮かんでいた。
視線をやや上げて丁度真ん中辺りを見るように眇めた。海と空の狭間がほんのちょっぴり弧を描いてる。
本来、落下を防ぐ柵によじ登り上手い具合にぶら下がっているリンク。眠たげな欠伸を一つ噛み殺しながら髪をさらさら揺らす海風に目蓋を下ろした。

何となく右手の甲を目の前に翳した。
こんなところに僅かな間だが、勇気のトライフォースが宿っていた。



「今は無い」

もうないんだ。
大きな目で睨んだところで変わる筈もなく。ただ小さな子供らしい手があるばかり。
凝視するのをやめ、リンクは再び意識と視線をただ広がるばかりで面白味のない海原へ向けた。
こんなに気分が重たいだなんて久しぶりだ。
足をぶらぶら、手もぶらぶら。
傍から見れば落下してしまうのではなかろうかという危うい体勢でリンクは今日起きた出来事を思い出し始めた。








「あいたっ!」
飛んできた小石は見事リンクの頭にぶつかった。
当たった箇所を手で押え擦りながら振り返れば小石を投げたであろう自分の歳と近い子供達の群れが見えた。
群れと多寡だか知れている。年々子供の数は減り続けているのだ。それでも自分の生まれ育った島より断然買出しに訪れるこの島の子供の数は多い。なにせ集団教育が受けられる施設があるくらいだ。
その施設に通っている子供達の顔には見覚えがある。全くの赤の他人とまではいかない程度のものだが。

『    』
『   』
『          』

大声で言われる罵詈雑言。リンクの顔が思わず歪むも脳裏に響き出す、低く反論し難い声音に愛嬌のある眉を潜めた。
子供だからと何でも許されるものではない。子供とてその言葉の意味を知り、責任を取るべきだ。子供だから、無知だからなんという免罪符など存在しない。
確かにそうかもしれない。そうかもしれないけど、……何も分からない方がいいに決まってる。
まだ痛みが引かない頭を押えながら、リンクは身を縮ませその場を立ち去ろうとする。
その時、一際心を抉る言葉が神々の声を聞くと云われる耳に届いた。



――この世界の裏切り者ッ!!



握り締めた拳が震え、噛締めた唇から嫌な味が口に広がる。肩を竦めその場に立ち止まる姿はまるで親に叱られ気落ちする子供のよう。
しかしリンクの場合、それは叱られたからではない。
沢山の申し訳なさ、……そして。

(~~~っ)

自分への不甲斐なさだ。
このまま蹲りたい衝動に襲われていれば不意に影が差してきた。
見上げる。逆光で見え難い事この上ない大柄な男性が佇んでいた。
そして初老の男の傍に控えているお供の魔物達が買い出しの品々を持ちながら遠くで騒いでいる子供達を敵視している。
サーっとリンクの頭から血の気が引いた。自分の身の危険じゃない。自分の後ろ、少しだけ勢いが弱くなるも未だ騒ぎ立てる子供達の方だ。
咄嗟にリンクは異国の服を風に靡かせている男の服を掴んだ。
懇願する。彼らは彼らは彼らは―――………おねがいだから。

「殺しはしない」

ズン。腹に響く声色に孕む夥しい殺戮の色。しかしリンクの頭を撫でる掌はとても優しく暖かだった。
リンクと入れ替わるように前に出た男が邪悪な笑みを浮かべ哂う。

「自ら行動を移さず唯喚くしか脳のない輩が幾ら吠えた所で――この世界が変わるのか?この世界の結末を変える事が出来たのか?」

あれだけ喚いていた子供達がグッと息をのみ込んだ。
それだけ凄みのある声だが其れ以上に聞きたくない事を言いたくない事を、可能なら目を背け続けたい事をこの男…ガノンドロフは悠然と言ってのける。

滅ぶ道しか残っていなかったこの世界を存続する為、愚かで哀れな勇気のトライフォース継承者である小さな子供は自ら魔王にその命を捧げた。他のやり方が無いかなんて頭がおかしくなるくらいに考えた。でも結局出てこなかった。
一番やっちゃあいけない、やってはいけない方法しかなかった。

「…しかたないさ」

無理に笑う風の勇者。
その瞬間、風の勇者からリンクの手の甲から聖なる輝きが失われた。

魔王にトライフォースが一つを受け渡し、世界の存続を約束した。
空っぽの器だけになった自分。生きていても意味が無い命。リンクは死を覚悟していた。このまま生き続けていたら、もしもの手違いで再び戻って来てしまうかもしれない。
されどガノンドロフはリンクを殺さなかった。それどころか手元に置き続けていた。







揺れる船の上。大きな背中を見ながら今自分が済んでいる魔獣島を遠目に眺めていた。

「少しはスッキリしたか」

あり得ない言葉だった。それもそのはず、それは勝手にリンクが頭の中で思い浮かんだ言葉だ。
でも決して振り返らない大きな背はそう物語っているように見えた。

同じジャンルの似た条件の即興二次小説


ユーザーアイコン
作者:silf*しるふ@てすと ジャンル:ゼルダの伝説 お題:少女のもこもこ 制限時間:1時間 読者:825 人 文字数:1311字 お気に入り:0人
ガノリンかもしれないが欠片も甘くない。ガノンドロフがリンクを傷つけるお話。グロい。痛そう。リンクが喋れない設定。 壁に打ち込まれた楔とそこから伸びる鎖。それらに 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:silf*しるふ@てすと ジャンル:ゼルダの伝説 お題:禁断の空想 制限時間:1時間 読者:645 人 文字数:1330字 お気に入り:0人
時オカ敗北ルートでガノリン。 直接そういう描写は無いけれど、一応ヤる事ヤってる前提で書いてます。 文化的な捏造要素が少しあります。ガノンドロフ様の寝間着が浴衣 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:silf*しるふ@てすと ジャンル:ゼルダの伝説 お題:朝の傘 制限時間:1時間 読者:504 人 文字数:3164字 お気に入り:0人
時の勇者とゴーストショップの主人のお話。 心の赴くままに書いてます。メタいかもしれない。 相変わらずリンク君は喋らないし、喋っている人も口調が迷子。 「今日の 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:silf*しるふ@てすと ジャンル:ゼルダの伝説 お題:オチは口 制限時間:1時間 読者:532 人 文字数:1155字 お気に入り:0人
時オカのopの、「平和なハイラルを馬で駆る青年勇者」ってゲームの中では実現しないよなぁって思って書きました。リンクが見た夢のお話。腐向けではない。チャットの口 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:silf*しるふ@てすと ジャンル:ゼルダの伝説 お題:絵描きの火事 制限時間:1時間 読者:715 人 文字数:5223字 お気に入り:0人
全てを奪われた時の勇者と、優しくて美しくて絶対的な女神ハイリア様のお話。 流血表現があります。 例によってお題は無視。いろいろあれ。 森の中を一人の青年が馬に 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:silf*しるふ@てすと ジャンル:ゼルダの伝説 お題:愛すべき地下室 制限時間:1時間 読者:607 人 文字数:3406字 お気に入り:0人
聴唖(聞こえて喋らない)。失声症設定の「ムジュラの仮面」版リンクのお話。冒険のその後のお話。 タミルナの文字は表音文字らしいのでひらがな表記にしてみました。で 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:かおりん ジャンル:ゼルダの伝説 お題:僕が愛した雲 制限時間:1時間 読者:477 人 文字数:297字 お気に入り:0人
ギラヒム「・・・」珍しくギラヒムが何もせずボーッと空を見ている。何をしているのか聞くと彼は軽く笑いギラヒム「見てわからないのかい?雲を見ているのさ」空を見ると確 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:冥王碑暮 ジャンル:ゼルダの伝説 お題:せつない人体 制限時間:1時間 読者:657 人 文字数:1023字 お気に入り:0人
悠久ともとれる時間の中で、彼はただ穏やかに眠っていた。 力を欲し、国王と姫君を石へ変え、フォースを奪うために儀式を行い……悪の心を満たす念願は果たされたかに思 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:ゼルダの伝説 お題:秋の話 制限時間:1時間 読者:647 人 文字数:1451字 お気に入り:0人
四辻の続く森を少年が急ぎ歩く。紅葉した木々は風に吹かれる度に木の葉を散らし地面へ落ち葉の絨毯をつくり上げていた。美しい光景ではあったが少年には関係がない、否、 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:白野 ジャンル:ゼルダの伝説 お題:愛、それはしきたり 制限時間:15分 読者:454 人 文字数:543字 お気に入り:0人
今回のお題は「愛、それはしきたり」だそうですよ、と男は嫌悪感を露わにして言った。「やめてくださいよそんな身も蓋もない始まり方」「ワタシに反抗するなど……もやし 〈続きを読む〉

チクチク目打ちの即興 二次小説


ユーザーアイコン
作者:チクチク目打ち ジャンル:ポケットモンスターBW お題:大好きなぬくもり 制限時間:30分 読者:13 人 文字数:1019字 お気に入り:0人
すっかり温くなったジュースの缶を両手で握りしめ俯き項垂れる子供を見下ろす内に此方の溜飲が下がるというもの。叱られた子供よろしく肩を竦め時折上目遣いで様子を窺う様 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:チクチク目打ち ジャンル:ポケットモンスターBW お題:今日の妻 制限時間:2時間 読者:10 人 文字数:2359字 お気に入り:0人
忘れたことが分かるならまだいい。忘れたというのを理解できているから。問題は忘れたこと自体忘れてしまって分からなくなってしまうこと。きっと今自分の身に起きているこ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:チクチク目打ち ジャンル:ゼルダの伝説 お題:哀れな祝福 制限時間:1時間 読者:77 人 文字数:1126字 お気に入り:0人
そう遠くない、なるかもしれない未来。と、いったところでそれが一体何百年、何千年後なのか、もしかしたらすぐ近い未来なのか、はたまた別次元の過去なのか分からない。皮 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:チクチク目打ち ジャンル:ONE PIECE お題:栄光の殺し 制限時間:30分 読者:181 人 文字数:487字 お気に入り:0人
どこまで本気で、どこまでが冗談なのか。ふざけているとしか思えない行いは常に割り切っていなければ振り回されるのがオチだ。今更ながら掻いた胡坐の中で高いびきをして眠 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:チクチク目打ち ジャンル:IT/イット “それ”が見えたら、終わり。 お題:黄色い接吻 制限時間:30分 読者:58 人 文字数:627字 お気に入り:0人
くすみ切った白い夢がひたひた足音を立てやってくる。熱が入り過ぎて役になり切っているのか。それとも別の何かが憑依して体を操り心を支配しているのか。撮影の合間。次の 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:チクチク目打ち ジャンル:ポケットモンスターBW2 お題:栄光の殺し 制限時間:30分 読者:65 人 文字数:1226字 お気に入り:0人
朝露滴る緑の絨毯が屋根一面を覆い隠し、朽ちるか朽ちないかの瀬戸際で鬩ぎ合っている石柱の間を潜り抜け、昔は人の活気で賑わっていただろう廃れた町並みを歩く。耳を澄ま 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:チクチク目打ち ジャンル:IT/イット “それ”が見えたら、終わり。 お題:遠いガール 制限時間:30分 読者:77 人 文字数:604字 お気に入り:1人
白い手袋が頬を包み撫ぜる感触はどちらかと言えば嫌いじゃない。少し毛羽立った布地が耳の縁をなぞる。こそばゆくて首を竦めようとすればその隙間に白い手袋が先回りして肩 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:チクチク目打ち ジャンル:IT/イット “それ”が見えたら、終わり。 お題:振り向けばそこに深夜 制限時間:1時間 読者:87 人 文字数:908字 お気に入り:1人
足元で蠢いていた黒い靄がビルの感情に共鳴して彼に群がり纏わりついた。憎悪、怒り、果たせなかった無念が糧となり勢いを増した黒い靄が白銀色の衣装を真逆の色で覆い隠す 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:チクチク目打ち ジャンル:約束のネバーランド お題:彼が愛した快楽 制限時間:1時間 読者:69 人 文字数:1109字 お気に入り:0人
変わり映えのない日々、手応えの全くない日々をたった一瞬で塗り替える鮮烈と期待に心が躍る。突如現れた一人の子供。その的確な指示が手緩い狩猟の終わりを告げる。待ち望 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:チクチク目打ち ジャンル:IT/イット “それ”が見えたら、終わり。 お題:清い壁 制限時間:30分 読者:108 人 文字数:709字 お気に入り:1人
糞尿が入り混じった汚水の匂いと屍肉が放つ腐臭のブレンドは一度服に染み着いたら中々取れない。触っただけで火傷するネバネバした糸に触れぬよう一定の距離を保つ。一本で 〈続きを読む〉