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貶すことなど許さぬ

ゼルダの伝説 風のタクト(風味)
捏造成分過多
ちょっと腐っているかもしれません そんな老いぼれ魔王と小さな勇者







この世界の時間軸・空間軸のでぼくは勇者をやめたんだ。



カモメが気持ち良く泳ぐ空の海。見上げていた視線を下ろせば誰かの帽子だろうか。麦わら帽がぷかぷか水の海に浮かんでいた。
視線をやや上げて丁度真ん中辺りを見るように眇めた。海と空の狭間がほんのちょっぴり弧を描いてる。
本来、落下を防ぐ柵によじ登り上手い具合にぶら下がっているリンク。眠たげな欠伸を一つ噛み殺しながら髪をさらさら揺らす海風に目蓋を下ろした。

何となく右手の甲を目の前に翳した。
こんなところに僅かな間だが、勇気のトライフォースが宿っていた。



「今は無い」

もうないんだ。
大きな目で睨んだところで変わる筈もなく。ただ小さな子供らしい手があるばかり。
凝視するのをやめ、リンクは再び意識と視線をただ広がるばかりで面白味のない海原へ向けた。
こんなに気分が重たいだなんて久しぶりだ。
足をぶらぶら、手もぶらぶら。
傍から見れば落下してしまうのではなかろうかという危うい体勢でリンクは今日起きた出来事を思い出し始めた。








「あいたっ!」
飛んできた小石は見事リンクの頭にぶつかった。
当たった箇所を手で押え擦りながら振り返れば小石を投げたであろう自分の歳と近い子供達の群れが見えた。
群れと多寡だか知れている。年々子供の数は減り続けているのだ。それでも自分の生まれ育った島より断然買出しに訪れるこの島の子供の数は多い。なにせ集団教育が受けられる施設があるくらいだ。
その施設に通っている子供達の顔には見覚えがある。全くの赤の他人とまではいかない程度のものだが。

『    』
『   』
『          』

大声で言われる罵詈雑言。リンクの顔が思わず歪むも脳裏に響き出す、低く反論し難い声音に愛嬌のある眉を潜めた。
子供だからと何でも許されるものではない。子供とてその言葉の意味を知り、責任を取るべきだ。子供だから、無知だからなんという免罪符など存在しない。
確かにそうかもしれない。そうかもしれないけど、……何も分からない方がいいに決まってる。
まだ痛みが引かない頭を押えながら、リンクは身を縮ませその場を立ち去ろうとする。
その時、一際心を抉る言葉が神々の声を聞くと云われる耳に届いた。



――この世界の裏切り者ッ!!



握り締めた拳が震え、噛締めた唇から嫌な味が口に広がる。肩を竦めその場に立ち止まる姿はまるで親に叱られ気落ちする子供のよう。
しかしリンクの場合、それは叱られたからではない。
沢山の申し訳なさ、……そして。

(~~~っ)

自分への不甲斐なさだ。
このまま蹲りたい衝動に襲われていれば不意に影が差してきた。
見上げる。逆光で見え難い事この上ない大柄な男性が佇んでいた。
そして初老の男の傍に控えているお供の魔物達が買い出しの品々を持ちながら遠くで騒いでいる子供達を敵視している。
サーっとリンクの頭から血の気が引いた。自分の身の危険じゃない。自分の後ろ、少しだけ勢いが弱くなるも未だ騒ぎ立てる子供達の方だ。
咄嗟にリンクは異国の服を風に靡かせている男の服を掴んだ。
懇願する。彼らは彼らは彼らは―――………おねがいだから。

「殺しはしない」

ズン。腹に響く声色に孕む夥しい殺戮の色。しかしリンクの頭を撫でる掌はとても優しく暖かだった。
リンクと入れ替わるように前に出た男が邪悪な笑みを浮かべ哂う。

「自ら行動を移さず唯喚くしか脳のない輩が幾ら吠えた所で――この世界が変わるのか?この世界の結末を変える事が出来たのか?」

あれだけ喚いていた子供達がグッと息をのみ込んだ。
それだけ凄みのある声だが其れ以上に聞きたくない事を言いたくない事を、可能なら目を背け続けたい事をこの男…ガノンドロフは悠然と言ってのける。

滅ぶ道しか残っていなかったこの世界を存続する為、愚かで哀れな勇気のトライフォース継承者である小さな子供は自ら魔王にその命を捧げた。他のやり方が無いかなんて頭がおかしくなるくらいに考えた。でも結局出てこなかった。
一番やっちゃあいけない、やってはいけない方法しかなかった。

「…しかたないさ」

無理に笑う風の勇者。
その瞬間、風の勇者からリンクの手の甲から聖なる輝きが失われた。

魔王にトライフォースが一つを受け渡し、世界の存続を約束した。
空っぽの器だけになった自分。生きていても意味が無い命。リンクは死を覚悟していた。このまま生き続けていたら、もしもの手違いで再び戻って来てしまうかもしれない。
されどガノンドロフはリンクを殺さなかった。それどころか手元に置き続けていた。







揺れる船の上。大きな背中を見ながら今自分が済んでいる魔獣島を遠目に眺めていた。

「少しはスッキリしたか」

あり得ない言葉だった。それもそのはず、それは勝手にリンクが頭の中で思い浮かんだ言葉だ。
でも決して振り返らない大きな背はそう物語っているように見えた。

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