ジャンル:アイドルマスターsideM お題:淡いローン 制限時間:30分 読者:512 人 文字数:1356字 お気に入り:1人

ぎゃんぶらーはダメ人間(はざやまはざ)



「今月、何回目だ、山下君」

そう言いながら、はざまさんは財布の口を開ける。いつものように5000円を引き抜くと、俺に向かってぶっきらぼうに差し出した。
ありがとうございます、すまなそうに、低姿勢でがモットーだ。ぺこりと頭を下げると、冷たい声が返ってきた。

「君は、部屋の片付けも、金の管理もできないのか。生活リズムも乱れているみたいだし、ちゃんとしないとだめだろう。アイドルはただでさえ不規則になりがちなのだから」

そう言って、つかつかと俺に歩み寄る。あまりにも接近するものだから、逃げ腰になって後ろへ後ろへと身を引くと、壁へと追い詰められてしまった。

「だから、ほんとすみません、もう借りませんから」
「先月も同じことを聞いたぞ。第一、先週も貸しただろう。何に使ったんだ」
「ええーと…競馬を少々」
「………………」

きっ、と鋭利な目付きで睨みつけられると、背筋がぞわっとした。冷や汗が垂れる。まずい。弾みで言ってしまったが、競馬はまずかった。

「じ、冗談ですって、ほら、競馬になんか使うわけないでしょ」
「………………」

それからは、一日中、終始俺の問いかけに対して無言だった。
何を話しかけても答えてくれず、冗談にものってくれなくて、完全に怒らせてしまったと思った俺は、帰り道、ここぞとばかりにはざまさんを捕まえて再度謝ったのだ。

「ほんっっっっっとーにすみませんでした!!!来週の給料日に必ず返しますから!!」

両手を手の前で合わせて、精一杯の誠意を込めて。
すると、はざまさんは、一つ大きなため息をついて俺にいった。

「金を貸すのはいい。ただ、借りた金でギャンブルはいただけないぞ。流石に私もそこまで心は広くない」
「あ、ギャンブルじゃ無いんです」

俺が言うと、はざまさんは頭の上に大きな?マークを浮かべて立ち止まる。

「あ、ほら、ええと、この前、俺の部屋片付けに来てくれたでしょう」
「ああ、行ったな」
「あの時に…」

そう。この前、俺の部屋が汚れ過ぎていて、はざまさんが片付けに来てくれたのだ。その時に必要な掃除道具がなくて苦労させてしまったのだった。
なので、すぐに揃えるべき道具を買いに走ったら、財布の中の残弾がなくなってしまったというわけで…
本当はそういうことなんですよ、と俺が言うと、はざまさんが目を丸くして言う。

「何で初めから言わなかったんだ?」
「だって、恥ずかしいじゃないですか!掃除道具買ってお金なくなったなんていうの!」

そうなのだ。そこは男のプライドとして許さなかったのだ。掃除道具よりも、ギャンブルに使ったって言った方が、より格好がつくと思ってしまうものなのだ。男は。
すると、そんな俺の気持ちを読んだかのように、はざまさんは微笑みを浮かべると、まったく、君はだめなやつだな、と話を続ける。

「本当のことを言っていれば、私は怒らなかったのに。ああ、罰として、また私が君の部屋を片付けに行ってやろう」

そう言ったはざまさんの横顔はちょっと嬉しそうだった。


あれから、また彼が来てもいいように、借りた金で茶碗と箸をもう一セット買っておいた。
今度はちゃんと本当のことを話そう。おこられないように、そしてまた家にきてもらえるように。

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