ジャンル:スラムダンク お題:素晴らしい反逆 制限時間:1時間 読者:1366 人 文字数:1427字 お気に入り:0人

【洋三】甘やかされて溶かされる②


暫くワシャワシャとタオルで髪を拭かれる。
水戸は世話好きだと思う。
オレの世話も焼きたがるし、桜木の世話もよく焼いている。
陰で桜木の保護者と呼ばれているのを、コイツは知っているのだろうか。


「腹減った?」

「減った」

「ん、じゃあ食おうか」


タオルで隠された視界が、パッと開ける。
洗濯機の中にポイと今の今まで使っていたタオルを、水戸が乱雑に投げ入れているのをぼんやり眺めた。

水戸のチャーハンは美味かった。
贔屓目なしに、格別だった。
本当に、何でも器用にこなす男である。
スープもサラダも美味しくて、あっという間に平らげてしまった。


「ごちそーさん」

「はいよ」

「マジで美味かった」

「そ?」


チャーハンなんて誰でも出来るけどね、と肩を竦めながら水戸が笑う。
そんなことはないと思う。
だって、オレはチャーハンの作り方なんて全く知らない。
そもそも料理なんて、カップ麺とおにぎりくらいしか出来ない。

皿を片づけ始めた水戸の手伝いをするため、オレも自分の食べた皿を片付ける。
そのまま一緒に台所まで運んだ。


「いいよ、オレやっとくから」

「泊まれてくれる礼くらいさせろよ」

「じゃあ、洗うの手伝ってくれる?」


そんなの、言われなくたってやってやる。
水戸から泡のついた食器を受け取り、水で洗い流す。
食器洗いなんて自分の家でも全くと言っていい程やらないけど、これくらいならオレにだって出来る。
二人で並んで台所に立っていると、まるで同棲しているみたいに思えてきた。


「何か、新鮮だね」

「そーだな」

「次からは、三井さんにも手伝ってもらおーかな」


次もあるのか。
その事実に、喜ばないヤツなんていないだろう。
小さく笑いながら、そっと隣に立つ水戸を見る。

慣れた手つきでスポンジを皿に滑らせている。
どことなく、機嫌が良く見えるのはオレの気のせいだろうか。
もしかして、水戸も同棲みたいだと嬉しく感じてくれてるのだろうか。
それなら、凄く嬉しい。
同じことを考えているって、何だか以心伝心みたいだから。


使った食器類はそこまで多くなく、二人の共同作業はあっという間に終わってしまった。
すこし寂しく思ってしまうオレは、最早重傷なのかもしれない。


「じゃあ、オレ風呂入ってくるね」

「おー」

「良い子で待ってろよ?」

「……ガ、ガキ扱いすんじゃねー!」


頬を抓られながら、そんなカッコイイ台詞を言われてしまい、胸がどうしようもなく高鳴ってしまう。
年上に言う言葉じゃないのに、何でこんなに心臓が煩いんだ。
プライドないのか、オレ!


でも、実際格好良くて、気障な台詞も似合ってしまって。
オレはいつだってやられっぱなしだ。


だから、風呂上がりの水戸にドキドキしてしまうのはしょうがないことだ。
初めてお目にかかる、髪を下ろした水戸は妙に色っぽくて。
そんな姿でチューチューとパ○コを吸う姿は、いわゆるギャップというヤツなのか何だか可愛くて。
終始ドキドキしっぱなしだった、情けないオレ。

その日の夜のこと?

そんなの、言えるわけないだろうが。
オレのキャパを余裕で越えてしまってたし、思い出すだけで恥ずかしい。
そもそも、テンパリ過ぎてそんなによく覚えていない。
覚えていても、そんなことペラペラ話せる度胸なんて、オレには持ち合わせてないけどな。



FIN

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