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[ステ+ダニ]嘘つきたちの高貴な夜



「ハロー、ミスターステファン」

 呼ばれたスティーブンは振り返り、そして振り返ったことを後悔した。

「えー、と。どうも、ミスター……」
「ダニーで構いませんよ。ステファンと呼んでも?」
「ええ、もちろんですよ……ダニー」

 答える笑顔は間違いなく引きつっていたが、周囲で思い思いに談笑する人々は気付かなかった。
 スティーブンは今にも叫び出してしまいたい心地だったが、グッと噛み締めて握手した相手を見る。

 日頃の鬱陶しげな前髪は片側で固められ、意外にも端正な顔立ちが現れる。
 三白眼気味な目をごまかすためか、すこし瞼を下ろしているが、それがまたとろけるような視線なのだ。
 普段はペラッペラのトレンチコートであるが、今日はしっかりしたスーツ姿に身を包んでいる。ポケットチーフまで入っているほどだ。
 果たして何時間かけてここまで仕上げたのか、スティーブンはすこし気になったが、しかしそれ以上に彼がここにいることが気がかりで仕方なかった。

「ステファン、貴方はこちらの主催の方と懇意だとお聞きしましたが」
「ええ、私の趣味であるプールバーで偶然知り合ったんですよ」
「へぇ、ビリヤードを嗜んでおられるのですね」

 普段の粗暴な口ぶりはどこへやら、驚くほど美しいクイーンズイングリッシュが彼の唇から紡がれるたび、他人の空似なんじゃないかと思う。
 しかし、事前にHLPDの潜入捜査が行われている情報を掴んでいたスティーブンは、あいにくと目の前の現実を否定できるほど夢見がちでもなかった。

「ダニー、貴方はなぜこの慈善事業パーティへ?」

 このパーティの名目は『恵まれない異界の子供たちへ愛の手を』である。
 金持ちの自尊心をくすぐり、貰った施設の子供たちを援助する、どこにでもありふれた話だ。
 ただし、このパーティの主催が保護した児童を人身売買してるとなれば話は別だろう。
 その実情を調査すべくスティーブンはパーティへ乗り込んだわけであるが。

「ええ、私、いわゆる実業家というやつなんですがね、最近ボランティアにも関心がありまして」
「それは素晴らしい」
「ノブレス・オブリージュというやつですかね」

 ははは、と互いにシャンパン片手に笑い合う。朗らかな交流を演じながら、スティーブンは思う。
 ああ――きっと大変な夜になる。

 目の前で同じく笑う実業家の男――本職はHLPDであるダニエル・ロウの顔を見て、スティーブンは心の中でため息をついた。

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