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長男と五男(十四一)



 ガラパゴス諸島にいる動物たちはその特異性から一歩も島の外に出ることができないという。
 僕たちはそんな外敵によって簡単に殺されてしまうようなガラパゴス諸島の生物たちを笑えないだろう。
 僕たちは六つ子という厚い殻の中では自在に泳ぎまわり、活発になれるけれど誰一人としてその殻をつつき、割ろうとする者はいない。
 いや、末っ子に甘んじているトド松だけは外界に興味を持って、首をきょろきょろさせるのだけど、口先だけは一丁前に外界の大切さを説く三番目の兄さんによって、しばしばその冒険の道は断たれていた。それに、万が一彼をかいくぐれたとしよう。それでもまだ不十分だのだ。僕らが外の世界を臨むにはまだ、倒さなければならない敵がいる。敵は身内にいる。長男のおそ松兄さんだ。
 僕はずっと眺めている。僕にとって外の世界はひどくどうでもいいもので、そもそも、この暖かい殻の中にいることだってどうでもよかった。だって俺は、トド松があこがれて、チョロ松兄さんがどんなにすばらしいものか説く景色を聞いてもちっとも羨ましくは思わなかったんだもの! そのうえ、一松兄さんが、この生ぬるい殻の中がどれだけ安全で居心地のいいものなのか説明する時だって右から左へと突き抜けていった。「これでいいのだ」と満面の笑みで言ってくるおそ松兄さんの言葉などは、もっとどうでもよかった。いつからか、全く覚えがないのだけれど俺は結構、どうでもいいと思っていた。「これでいいのだ!」と現状肯定する魔王みたいな兄さんとは正反対の方向にぶっ飛んでいたようだった。もし、好きな人ができたら、一生懸命になれるかもしれないけれど。こんな殻のなかにい続けて、一体どんなふうに振る舞うつもりなんだろう、俺自身のことなのにこればかりは分かりそうにない。

 今日も、僕たちの狭い狭い籠の中に鎮座する魔王は誇らしげだった。彼もまた、俺と同じく、周りのことなんてどうでもいいと思っているに違いないのだけど、俺とおそ松兄さんの違いはきっと、彼はそれでも世界を――自分を中心にしてくるくる回る、おもちゃみたいな空間を――愛していることだった。

「おそ松兄さんは、いつも楽しそう」
「十四松が言うか、それ~。お前はいっつも何やってるかわかんねえけど、楽しそうじゃん」

 にっと溢れんばかりの自信を込めた笑顔はなるほど、眩しい。これぞ正しい!っていやおうにも思わされるものだ。
 でも、俺は、そんな強烈な太陽光に焼かれながら、分厚い殻を惜しそうに撫でる手を知っている。
 一松兄さんは怖がりだけど、外に出たいのだ。昔は臆病だった自分だから、なんとなく分かる。

「一松兄さんに、友だち――」

 ぽつりと呟いた言葉はつらさと無縁の魔王には届かなかったらしい。
 まずは猫からかな。俺は、兄さんを脱出させたかった。

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